2012年12月26日水曜日

デフレ脱却は可能か?

アベノミクスなる、金融緩和を軸にしたリフレ策に大きな期待が寄せられています。
日本経済は過剰な供給力に対して需要が伴わないことからデフレに陥っているわけで、需要が喚起されていない状態では、いくら強力な金融緩和をしたところで、効果があるとは思えません。

ただし、私は3〜5年の中期的なスパンに立てば、金融政策なんかしなくてもほっておいてもデフレは脱却し、インフレが始まるものと予想しております。しかしながら、それは経済成長によるいい意味でのインフレではなく、悪い意味でのインフレを予想します。

冒頭に申し上げたように、経済は需要と供給で成り立っています。今は供給力が需要を上回っているので、デフレに陥っていますが、日本の供給力は徐々に低下し続けており、このまま供給力が低下すれば、2018年あたりに需給ギャップが埋まるところまで進んでしまうという予想もあります。需給ギャップが埋まるということ、それは即ちデフレがを脱却するということになります

日本の供給力の低下の理由として主に3つの要因があげられます。
一つ目は、海外への生産拠点に伴う産業空洞化があげられます。海外現地法人から輸入額を総輸入で割った空洞化を示す指標は、2000年は7%であったものが、2012年には13%となっています。また海外直接投資残高は2000年末の32兆円から、2011年末には75兆円に増加しています。空洞化は加速化しており、国内の供給力は低下しております。

二つ目は労働人口の高齢化です。2000年の生産年齢人口は8600万人であったものが、2012年には8000万人に。また就業者の平均年齢は2000年の42.9歳から2012年は44.7歳に上昇しております。

三つ目は社会インフラの老朽化です。先般のトンネルの天井崩落事故で明らかになったように、高度経済成長期に建設された日本の社会インフラはかなり老朽化しており、港湾設備、高速道路(とくに首都高速)の老朽化は経済成長の足枷となりうるレベルまでの老朽化が進んでいます。

これら三つの要因による供給力の低下と、米国の景気回復によるドル高円安により経常収支の赤字転落およびその構造化が合わさり、デフレ脱却は数年以内に起きるものと予想しております
そしてこれは構造的な悪材料によるインフレであるゆえに、一度インフレに陥ると国民生活がさらに逼迫していくものになります。

今年は、富裕層であるお客様から外貨の投資比率をあげていきたいという声は増えた年でした。企業経営者であるお客様はこうした流れをいち早く感じとり、早め早めに対策をたてようとされているからかもしれません。




2012年12月25日火曜日

「不連続の日本経済」若林栄四

でました。
チャーチストの大御所・若林栄四氏の新刊。
こういう相場の変わり目になりそうな時期には読んでおきたいですね。
どうしても大手の金融機関の所属しているストラテジストは冒険できないから、今のファンダメンタルズや今の相場の延長でしか物を語ることができず、大きな相場転換を予想することはできないのですよ。
若林氏は「一切のファンダメンタルズを排している」というわりには誌面のほとんどはファンダメンタルズなんだけれども、それはまずはチャート分析ありきで、それがロジカルに成立し得るかを検証している感じですね。「未来に起きること」ありきで、未来のことに後付けで理屈をつけている感じ、と言いますか。
大手金融機関所属の小生がこういう理論を推奨しちゃうと、なかなかよろしくないこともあるのですが、この方の相場予想はキチンと当ててきますからね〜。
一読をおすすめします。




米国のシェールガス革命が他国で起きない訳

米国が景気回復を始める、米国に投資すべきだという提案をする際に、その論拠とシェールガス革命が起きることをあげております。
そうしたお話をする際に、なぜ米国でしか起きないのか、米国経済に中期的にどのようなメリットがあるのかという質問をいただきます。
それに対してウォールストリートジャーナルの解説記事が秀逸でしたので、要旨をまとめてみました。

シェール層は北米以外にも様々な地域で確認されており、世界のエネルギー会社や政府は開発を望んでおります。しかしながら、シェールガスはそもそも採掘が難しく、それを輸出するのは技術的に相当難しく、米国以外の国が生産に至るには10年近くの年月を要するものとみられています

海外での開発が遅々として進まない理由に、政府による鉱物権保有、環境懸念、ガス・石油の採掘・輸送のインフラ欠如がある。また、採掘が1世紀以上行われている米国と比べ、大半の国の地質に関する知識は大幅に少ないこともある。

中国には米国よりも大量にシェールオイル・ガスがあるとみられている。しかしながら問題は、その大半が乾燥地帯や人口密集地にあることである。水圧破砕に必要な大量の水を確保できないほか、水平掘削装置を作るためには誰かの水田を破壊しなければいけない状況である。

一方、米国では1990年代終盤にシェールが掘削された時に始まり、ウォール街は熱心に資金供給を行い、既存の大型パイプラインや多数の掘削リグも業界の追い風となっている。

米国とカナダでは当面。シェール開発における経済的優位を享受する主な国であり続けそうだ。両国では天然ガスやエタンの供給過剰を受け、新たな工場建設に魅力を感じており、生産の海外移転が続いていたここ数年とは様変わりである。


2012年12月22日土曜日

「ビジネスマンのための『実行力』養成講座」小宮一慶

経営コンサルタントとして著名な小宮氏の新刊です。
最近の彼の著書は、今までの書籍で彼が伝えてきたことの焼き直しで、新しい基軸があるわけではありません。しかしながら、小宮氏をプロフェッショナルとして敬愛する私としては、同じ内容を言葉を換えて何度も伝えてもらっているという感覚で、新刊が出るたびに買って読んでいます。
そうすると、前著でも彼が伝えていたけれど、まだ実践できていないよね、ということに直面しますので、自分のディシプリン(行動規範)を反省することしきりなわけなのです。
彼の伝える仕事術はライフハック系の奇をてらった特殊なものではありません。
いつの時代にも通じるようなプロのビジネスマンが身につけていてしかるべきディシプリンを伝えています。
本著でもいいし、もう少し前の著作でもいいので一読をおすすめします。



2012年12月19日水曜日

為替相場は転換したか?

為替市場のムードが変わってまいりました。

衆院選後の今週は狭いレンジ内での動きではありましたが、株の上昇に支えられ、予想されていたようなポジション調整(円売りポジションの解消→円高)もなく、相場つきが変わってきたのではないかという声も多く聞かれるようになりました。

とはいうものの、
クリスマス休暇前の取引参加者が少ないマーケットにおける動きですので、「変わりました!」と言い切ってしまうのはまだ早計であり、まだ難しい状況です。

しかしながら、いくつか材料が「円安トレンドへの転換」の可能性を示唆しております。
(まわりくどくてすいません)

一つは前回の投稿でコメントしました「日米2年金利の差」が広がり始めたことです。
いまのところはレンジ内ではありますが、米国2年金利が上昇し始め、金利差が拡大し始めました
日本の金利が下がっている一方、米国はFRBによる追加量的緩和が見込まれているにもかかわらず、景気の本格回復を織り込む形で2年金利は上昇を始めております。
ここがさらに拡大してくると、ドル買いの動きが加速される可能性がございます。
この感応度は市場環境によって変わってきますので、「何%まで開いたときがシグナルです」的な言い方は難しいですが・・・。

もう一つは、いくつかの抵抗線を抜けて為替の水準として意識されている85円が近接していることです。2010年以降、何回か円安に戻った際に抜けらなかった抵抗線ですので、ここ(85円)をしっかりと抜けてくると、トレンドが変わってきたなという安心感を伴って、もう一段円安にということになりやすいです。

とはいうものの、日銀政策決定会合で何を言ってくるのか、財政の崖の議論の行方はどうなのかなど材料が多くあるため、現在は利益確定をこなしながらのポジション調整が行われているといった格好です。

財政の崖がこのままポジティブなムードで進めば85円ブレークの円安もあり得ますし、
一転してネガティブな報道がされれていったんポジション調整(下値のめどは81円~81.50円)はまだまだあり得ます。

で、結論はどっちなんだ?
という疑問に対しましては、まだ断定的にはいえません。
しかしながら、相場が変わったかもしれないというムードが醸成されておりますので、
80円を割れるような円高の展開はかなり考えにくくなりました

上がる(円安)か上がらないかはまだわからないですが、下(円高)はないでしょう

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2012年12月15日土曜日

当面の為替市場の動向について

ブログ更新にものすごく間が空いてしまいました。
読んでくださっていた方々、申し訳ございません。継続的に頑張ります。

本日は為替について潮目が変わってきた感じもありますので、そこについてコメントします。

安部政権への期待から投機的な円安ポジションが積みあがり、ドル円相場は83円台に突入いたしました。(シカゴIMMの投機ポジションは10万枚に)

投機的なポジション積み上げには巻き戻しがあるので必然ですので、すぐに元に戻るだろうと思っていました。
自民党が週末の選挙で大勝したにせよ、衆参のネジレが継続する夏場までは日銀法改正、インフレターゲットの政策導入などがなかなか前に進まないとの予想から、今度は逆にポジション調整(いったん円高に)の可能性は高いと思われます。

日本サイドの材料だけで動いている相場であれば、ポジション巻き戻しの可能性が非常に高いと思っておりましたが、米国サイドの材料として、12月11-12日のFOMC後の声明を受けて、ドルの下値が固くなったとみております。

FOMC6.5%という完全失業率水準を時間軸維持の主たる条件に据えたことが、大きなインパクトとして受け止められております。
米国経済の完全失業率の低下ペースは着実に進んでおり、同国経済が2%の実質成長率を維持できているという前提で、12ヶ月~1年半程度の期間でターゲットに達する可能性が高いと見られております。

したがいまして、超低金利政策維持に関するガイダンスがこれまでの「2015年半ばまで」から2014年半ばころまで」へ、1年程度短縮されたと解釈が可能になります。

しばらくFRBのバランスシートが膨らむというドル安要因は続くものの、上記の見通しを市場が織り込みはじめ、米国の2年金利が先行して上昇し始めれば、一気にレンジを抜けていく展開も予想されます。(中期の為替見通しでトレーダーは「日米の2年金利の差」を非常に意識しているため)
いまのところ2年金利に大きな反応はないようです。

さらに米国金利が上昇しているということは米国の景気は本格的に回復を始めている証となり、米国景気の回復は世界景気の回復、キャリートレードの再開という流れが予想されます。その際、キャリー通貨として売られるのは金利の上がった米ドルではなく、以前のように円である可能性が高くなります。

円安が進めば日本の貿易赤字も膨らますので、すでにノリシロの少なくなった経常収支の黒字幅がさらに縮小していくことになります。円買いをサポートしてきた大きな要因のひとつが崩れていくのは非常に重要なポイントです。

そうしたムードが醸成されている中ですので、選挙後の週明けにはクリスマス休暇前の利食い・ポジションの調整(=ドル売り)は入るにしても、「実需の買い」「買えていない投資家の買い」などドル買いの材料には事欠かず、80円割れは難しいと考えております。年内81.00くらいまででしょうか。

日本株につきましては、クリスマス休暇明けに海外投資家がドル買い円安方向に動き出せば、それを好感して日経平均がもう少し上昇していく流れも予想できます。

注目は米国2年金利がどこで反応し始めるか、ですね。

2012年9月25日火曜日

「なぜ日本経済じゃ世界最強と言われるのか」ぐっちーさん

金融系ブログでも最もクオリティの高い記事を綴っているぐっちーさんの著書。
過去のブログの修正加筆ですが、今読んでも「鋭い!」の一言。
金融界で起きている話題を題材に、金融マーケットが必ずしも公平でないこと、いろんなバイアスがかかって動いているということ、マスコミが騒ぐほどには不公平でもなく正しい裁定も働いていること、が学べると思います。
資産運用/投資活動をする方には必読の書と言えます。




「世界の99%を貧困にする経済」ジョセフ・E・スティグリッツ

米国経済学者スティグリッツ教授による著作。
現在の世界経済の仕組みの病巣を鋭く、しかもこれでもかというくらいしつこく指摘した良書。
現在の米国社会は30年前とは比較にならないくらいに貧富の格差が開いており、中流未満の家庭の子弟はまともに教育を受けることすらできない以上、機会平等という米国の魂はもはや過去の話/夢物語になっている。
富裕層の税金を抑え彼らの消費を刺激することが経済の活性化につながるという考え方がなぜ誤りなのか、なぜそういった誤りを信じ込まされているのか、等々の論点をじっくりと解説しております。
ボリュームはありますが、週末にでもじっくり読み込んでください。


2012年9月24日月曜日

QE3で上昇が期待される資産クラスの本命US REITに投資しよう!!<iShares Dow Jones US Real Estate>

9/19のエントリーでQE3で恩恵を受ける資産クラスとして米国の金融機関の株(とくにバンカメ)をおすすめしました。
今日はQE3でより直接的に上昇が期待できる資産クラスの本命として米国不動産を推奨します。といっても不動産現物を買っていくのは相当ハードルが高いことから、投資対象としてはまずUS REITを考えてみましょう。

US REITについては既に価格が上昇してしまっており割安感はないですので、今から買っていくのに抵抗を感じらるれるかもしれません。しかしながら、QE3はこれまでのようなマーケットの底抜けを防ぐというよりも、底打ち感のあるマーケットに強い追い風を送るような環境下で実施されたことを考えると市場には既に割安なものはほとんど無く、むしろ今は「割安なものを物色していく」というよりも素直に「上がりそうなものを買っていく」局面であります。米国の不動産は既に底入れから回復に転じており、「効果がでるまで続けるまでMBSの買い取りをする」という方針を考えると、米国不動産の当面の堅調な動きは期待してよいのかと思います。

さて、何を買っていくかですが、
SIMON PROPERTY等の個別のUS REITはトラスト方式をとっており、株と同じ税制とよいのか不明確であることから、日本の金融機関では取り扱いをしておりません。
したがって米国のREIT市場に投資していくには「なんとかグローバルリート」みたいな投資信託の形でアクセスするか、ETFの形でアクセスしていくか二者択一なわけですが、前者は販売時およびランニングの手数料が高く、たこ足配当というなんとも経済合理性のないことを行っているので、どうかと思うのですよ。

そこでコスト面と、米ドル資産に米ドル建で投資できるETFの利用をおすすめします。
具体的にはiShares Doe Jones US Real Estateは米国のメジャーなREITを組入れたETFであり、分散がきいているのでよいかと思います。
シンボルコードはIYRです。
Yahoo!Financeの左上に入力して、チャートや配当利回り3.39%をチェックしてください。
http://finance.yahoo.com/

またiSharesのWeb Siteでは概要や実績、運用報告が確認できます。
http://jp.ishares.com/product_info/fund/holdings/NYSEARCA/IYR.htm?periodCd=d

繰り返しになりますが、今は割安なものを物色するよりも、素直に上がりそうなものを買っていく時期。流動性の高い投資対象であれば環境が変わった時の、方針転換(損切りも)も容易ですからETFは非常に優れた投資手段と言えるでしょう。

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2012年9月23日日曜日

CAMICIANISTAの廉価でハイクオリティのドレスシャツ

みなさんはビジネス・スーツ用のワイシャツってどこで買われていますか?
小生はセレクトショップのオリジナル・シャツ(だいたい12,000〜14,000円の価格帯ですかね)を買うことが多かったのですが、最近のお気に入りはCAMICIANISITAというドレスシャツ専門の通販サイトで買っています。

セレクト・ショップのオリジナルとほとんど遜色のない白いドレスシャツがなんと6,800円!!圧倒的に安い。
これまでも安いシャツを売っているお店はいくつかありますが、そういうシャツはセレクトショップのオリジナルにと較べちゃうと生地も縫製もイマイチで、高級感が値段相応に落ちてしまっておりましが、ここのシャツは問題ナッシング!!

というのが、ここの親会社はセレクト・ショップのストラスブルゴと同じなので、要するに同じクオリティのものを店舗維持コスト(賃料、人件費)をかけずに提供してくれるという仕組み。

経済成長にとってはデフレは足枷でしかないんだけれども、こういうハイクオリティのシャツがこの値段で買えるというのはちょっと嬉しいですね。

雑誌やら日経新聞の折り込みやらでけっこう紹介されているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、高級インポートシャツやテーラードのシャツにこだわるレベルの方以外にはおすすめですよ。

http://camicianista.com/

2012年9月21日金曜日

「世界でたたかう英語」山元賢治/小西麻亜耶

アップル・ジャパンの前社長である山元賢治氏の英語本。
スティーブ・ジョブスやティム・クックとの会話の息づかいが感じられる良書。
英語上達には気に入った文章の暗誦が有効というけれど、飽きずに憶えてみたくなるようなテキストに今まで出会えてなかったのだけど、これは実戦的な会話でかつ、内容が良いから憶えてみたくなる。いくつか暗誦してみることにします。
おすすめです。




2012年9月19日水曜日

為替オプション付預金はほんとうに不利なのか?

二重通貨預金、Dual Currency Deposit、プレミアム預金、と呼称は色々ありますが、20年くらい為替を使った投資商品として人気であります。

いわゆる外貨のプットオプションを売ることでプレミアムを得るものであり、つまり不利な価格で買う義務を負っているわけで、要する実勢よりよくないレートで元本が外貨に交換される可能性を秘めているわけです。

「金融商品に気をつけなさい」系の主張をする経済学者や投資アドバイザーは、「意味がない」「リスクの割にリターンが限定的」と声高に批判される方がいます。

一回限りの取引の損益表(ペイアウト)を見るとたしかにその通りなのですが、それを理解した上で、仕組預金が好きというお客様がかなり多くいらっしゃっています。シビアな経済合理性を求める企業経営者がですよ。なぜでしょうか?

一つには、為替(とくにドル円)の振幅が株ほど大きくなく、負けてしまった時の毀損率が株に投資するより遥かに小さいこと。

二つ目の理由として、90年代初頭までの為替相場はいざしらず、昨今の為替為替はいったんレンジが形成されるとしばらくその範囲で動くことが多く、結果として円貨が外貨にかわっても、外貨を元本に円貨に戻りで条件を組み、利金を受け取りつつ、どこかの段階で元本がもと戻りましたという繰り返し、外貨と円貨に行ったりきたりがよくあるのです。

三つ目は、上記二点を前提として、楽しいから、勉強になるから、めんどくさくないからという理由。

為替証拠金取引でポジション作ったら、利食いや損切りのタイミングを考えて常にヒヤヒヤであり、本業のビジネスの片手間で取り組むには神経を使い過ぎるのに対し、仕組預金であれば期間をたとえば一ヶ月であれば、エントリーのタイミングで腹をくくってしまえば後はそれほど忙しくないこと。
エントリーのタイミングで、たとえば一か月毎に為替マーケットの状況をアドバイザーとのディスカッションを通してアップデートし、どういう戦略で条件を組むのか、あるいは様子見をするのか、それが為替の相場観を養うのに良いとコメントされる方は非常に多いんですね。

あせらずにきちんと「様子見」の期間を持つことができる方であれば、この1年はレンジ相場ですから、多くのお客様がざっくり5〜6%程度の収益はとれている状況です。

買い推奨!Bank of America (BAC)

今回の量的緩和(QE3)が過去2回と大きく違うのは、発動のタイミング。

最初の量的緩和はリーマンショックの後で、経済が本当に底割れしそうな時に、それを防ぐために実施しました。あらゆるアセットクラスは売り叩かれた後なだけに、株価は急回復を果たしました。2回目も1回目ほどではないですが、危機的状況を回避するために実施されたため株価は素直に買いに反応し、急激に反発しました。

今回は雇用の回復が遅れているものの、住宅関連の指標は明らかに底打ちから改善の方向に、企業業績は堅調で、米国に関する限り金融システムの崩壊の懸念は遠のいている状態でのQE3発動ですので、なんでもかんでもイケイケどんどんという勢いはあまり感じられません。既に株価は上昇してますからね。ここからどこまでいくんでしょうか。

そんな中、今回のQE3で有望なアセットとして、MBSの買取で最もメリットを受けることができる米国金融株を推奨します。

とくにカントリーワイドを傘下に抱えるバンク・オブ・アメリカはメガバンクの中では不動産関連の重荷が最も大きいと言われております。重荷となっているMBSをFRBが無期限で買い取ってくれると言ってるわけですから、これは株価は上昇する可能性は極めて高いといえるでしょう。
一方、少なくともCDSを見る限り倒産リスクはかなり遠のいておりますし、そもそも商業銀行が潰される可能性は低いと考えられることから、株価の下値リスクも限定的と思われます。

ただし、今の時代くるくる状況が変わりますので、このブログで推奨している長期保有前提のグローバル企業の株式と違って、「上がりきったら売ってしまう」短期投資としての推奨です。

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2012年9月16日日曜日

脂肪燃焼に最も効果的な方法ー脂肪なんてボンボン燃やしてしまえ!!

何年も継続的にジムに通ってトレーニングしているのに、全然痩せないということはないですか??

何曜日にジムに行っても必ず見かける、でもなにやらふっくらした人っていますよね。
週に2日はジムに通ってマシンでトレーニングして、トレッドミルで30分走っているのになかなか痩せず、目標とする体型や体重に届かないという人は案外多いかと思います。

そういう方は総じてトレーニングの強度が弱すぎるのではないでしょうか?
じわっと汗かきましたくらいのトレーニングでは脇腹の脂肪は落ちませんぜ。

Tarzanとかあるいはファッション雑誌のトレーニング記事を読むと、「20分以上続けられるの軽めの運動が脂肪燃焼に最も効果的」みたいなことを言っていますが、それはあくまでいままで運動習慣の無い人が対象の話です。

そういう人が軽めの運動を始めると最初はそれなりに脂肪が燃焼するんですけど、人間の対応力・順応力は割とたいしたものなので、2ヶ月も続けてるとあっという間に慣れてしまって、脂肪燃焼の信号が送られなくなっちゃうんですね。軽いトレーニングはなにもやらないよりはずっとずっとマシなんですけど、体型を変えるほどの刺激にはならないんですよ。

プラトー(停滞)に陥ってるトレーニー、時間がないビジネスマン諸氏におすすめするのがインターバル・トレーニングです。
簡単にいうとゼーゼー息があがる激しい運動と短い休息を何セットか繰り返す方法です(笑)。

筋肉をつけるためには高重量低回数(8〜10回程度なんとかできるという強い強度)のトレーニングが良いとされていますが、これだけだとエクササイズの時間が短すぎて脂肪燃焼には十分な効果が得られません。ジョギング程度の軽い強度のトレーニングは前述の通り効果は疑問です。(立てなくなるくらい高強度のウエイトトレーニングの後のジョギングには効果あり)

中くらいの強度で3分くらいできる種目を何セットこなす(トータルで15〜20分くらいが目安)インターバル・トレーニングがあなたの脂肪をボンボン燃やしてくれれます

小生は20代の頃の体型を維持していると周りから評価されております。いい歳してムキムキの筋肉をつけるつもりは無いので、筋力・筋量を維持しつつ脂肪燃焼できる効率的な方法をいくつも用意して、体が刺激になれてしまわないよう、メニューを色々変えて励んでおります。

一番効果的なのは屋外でのランニングの際にダッシュ&ジョギングを取り入れること。
400mダッシュ+100mジョギングを8セット
え?キツい?マジきついですよ(笑)
でもキツいことやらないと脂肪は燃えてくれないんですよ。
回数や速度で強度は自分にあった回数で調整できますから。

これをジムでやろうと思ったら、
傾斜をびっくりするくらいつけて速度を15km/hとかに設定して5分間走る続ける+2分間ジョギングを3セット
これもキツイ。

自宅でインターバルトレーニングをしようと思ったら、10kgくらいのダンベルを使ったエクササイズをインターバルを入れずに次々と行うこと。
(わからない種目はググって調べてくださいね)
腕立て伏せ20回→スクワット&ダンベルプレス10回→ダンベルロウイング10回→スクワット10回→ダンベルカール10回→レッグランジ10回→ダンベルプレス10回→スクワット10回→アップライトロウイング10回 以上を1分の休憩を挟んで3セット
ポイントは、
フォームはきっちりしなくてもよいからスピーディに動作をこなし、種目間のインターバルを極力とらないこと
上半身の種目と下半身の種目を交互に行うこと
複合種目(ダンベルプレス&スクワットを同時に行うみたいなやつ)が特に効果的

いろいろなトレーニング環境でインターバルトレーニングを行うことができると思いますので、自分でいろいろ工夫してみてください。

トレーニング習慣が無い方は、いきなりこんなことやったら間違いなく怪我をしてしまうので、まずはマニュアル通りのウォーキングやジョギングから始めてください。

資産運用も体作りも継続と工夫が重要なのです(笑)。

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2012年9月15日土曜日

QE3発動後の投資戦略


やってくれました、FOMC。
今回のQE3の発動についての骨子は「満額回答+アルファ」ととらえられており、ポジティブサプライズとして受け止められております。
事前にかなりQE3を折り込む相場上昇を見せていたものの、「噂で買って、事実で売る」展開となっていないことが、それを表しております。 市場との対話、発表のタイミングも絶妙だったといわざるを得ないでしょう

そもそも今回のFOMCでは、当初QE3の発動は12月のFOMC(オペレーション・ツイスト終了月)においてQE3発表とする予想と、今回のFOMCで発表されるとの予想が拮抗していました。
先週あたりから今回のFOMCQE3の発表がされるという予想が一気に増えてきました。

これまでの量的緩和と異なるところは、MBS(不動産担保証券)の買取についてオープンエンドとしており、
期間についての言及をしなかったことです。簡単に言うと、「雇用が回復して次のバブルが起きるまで徹底的にやり続けるぞ!!」という強いメッセージです。

私自身もここまで強いメッセージが出てくることを予想しておりませんでしたので、投資方針の変更(強気転換)は必要と思っております。

為替は対円を除いてドル売りの流れ。
対円では一時的なドル安(瞬間的に77.13タッチ)はあったものの、介入警戒感からその後小動き。
いわゆるリスクオンの相場では、金利が高い通貨や、投資対象がある(たとえば株が上がりそう)な通貨から、
買い戻される傾向がありますので、リスク回避時には一気に買われる円も今は後回しといったところでしょうか。
全体的な流れとしてはドルの下落圧力はありますが、ユーロについてもECBも同様に緩和方向に動いておりますし、今回のECB、FRBの連携を考えると日銀もなんらかの合意を裏でとっている可能性が高く、そういった意味では極端な円高にはならないと思われます。

なんといっても株、とくに米国株はここからかなりの上昇が期待されると思います。米国株の中でも、普段は優良資産として推奨しているグローバル優良企業の株よりも、出遅れ感のあるセクター、具体的には銀行株の急上昇が期待できるかと思います。MBSの買取りが、メリルリンチを子会社としてして抱えるBank of America / BACCitigroup / Cに対して、かなりポジティブに働きます。
米株全体は底値から見ると既に相当上昇しておりますので、ここからとっていくには抵抗感はありますが、潮目は変わりましたし、出遅れセクターならばいけるのではないかと思っております。

本件関してお客様とコミュニケーションをしたところ、必ず受ける質問は、
「で、この効果はいつまで続くの?株価はどれくらい上がるの?」ということです。マクロ分析をしているのではなく、投資が目的のコミュニケーションなので当たり前ですよね(笑)。
数日の動きだけではなんとも予想はしづらいのですが、ネガティブニュースが出そうなイベントが当面見当たらないこと、無期限買取(雇用が回復するまでやりつづける決意)を表明している以上、
いついつまでしか持たないんじゃないですか」というコメントはしづらいのが本音のところです。

とはいうもののQE1QE2の効果が3ヶ月程度であったことを考慮して、とりあえずは年内まではリスクアセット(とくに株やREIT)は上昇基調を続けると見ております。
流れが大きく変わりそうな展開でございますので、近々にまたマーケット概況をお伝え致します。


2012年9月13日木曜日

これから資産を増やしていく方々へ

私のお客様は現役企業経営者、不動産オーナー、会社を売却して悠々自適の方、色々な属性の方がいらっしゃいますが、彼らに共通しているのは「一生困らない」ほどお金を持っていること。

一方、私のブログを読んでくださっている多くの方はおそらく普通の資産規模の方がほとんどかと思います。
余裕資産の中から運用資産を割り当てている富裕層とちがい、日々の生活費から投資用の資金をひねり出してくる場合、その額はたとえば100万円!

お金を増やすにはやっぱり勝負が必要です。セオリー通りの長期分散投資なんてことやってたら、たとえ複利運用がうまくいって5年で倍になったとしても、元手が100万円でしたら200万円にしかならないですから。富裕層への道のりは非常に遠いです。
富裕層に到達するには一点集中投資、タイミングによってはレバレッジも駆使した勝負は必要です。

ではありますが、もしあなたが「これから投資を始める」ステージの方なもであれば、なにもわからないまま投資の世界に踏み込んで、レバレッジのかかった投資をしては百戦錬磨の投資家にカモにされるのがオチです。高校の体育の時間でバスケ部のヤツにバスケで歯が立たないの同じです。まずは、経験値が上がるまでは富裕層の行っている投資対象から場に参加していただきたいのです。

過去であれば良いとき悪いときの循環が一回りするまでに5年くらいかかっていましたが、ここ数年は1年で一回りしてしまうようなスピード感ですので、経験を積むのにそんなに時間はかからないでしょう。
値動きの比較的少ない投資対象でマーケットの勘どころをつかんだ後、本格的にレバレッジ集中投資で勝負に出てもらいたいと思います。

もし、あなたが既に経験豊富でしかもわりとうまくいっている投資家であれば、他の投資家が何を考えて何を選んでいるのかな、くらいの気持ちで私のブログを読んでいただければ幸いです。

2012年9月12日水曜日

「為替の誤解」上野泰輔

ここ1年、為替関係の良書が大豊作!
投資アドバイザーの職について十数年、様々な分野の本を読みあさっているのですが、為替市場のメカニズムついて、現場で為替取引をする我々がすっきりするレベル(そうそうそういうことだよね、とか、なるほどそう分析するのかみたいな)で書かれている本は、ほっんとに少なかったのです。為替の予想が難しいということの証拠ではありますが。

為替本のプチブームの口火を切ってくれたのはまずJPモルガンチェースのの佐々木融氏の著作、
弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)
為替市場の規模や取引の主体といった概観に始まり、氏がレポートでしばしばコメントする2年金利の金利差に注目した分析手段も解説してくれます

続いて出版されたのがドイツ証券の安達誠司氏による
円高の正体 (光文社新書)
為替相場を決定づける最も重要な要因として中央銀行による通貨の供給量をあげています。それに着目した修正ソロスチャートの解説は必読です。

そして、このたび新たに出版されたのが、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰輔氏の著作。「『為替』の誤解」です。
為替/通貨の視点から巷の経済に関する思い込みや誤解をといてくれます。






以上の三冊を読んでおけば、為替市場への偏った相場観や、妙な期待感が払拭され、思い込みを捨てたニュートラルな頭で相場と向き合うことができるのではないでしょうか。

おすすめの三冊です。

2012年9月10日月曜日

マレーシアの不動産投資にご注意

最近、マレーシアへの不動産投資が富裕層の間でプチブームとなっているようです。
金融商品はペーパーだからもう嫌だ、実物資産の方が下がっても何か残る。というリーマンショック後の流れの中、東京都心部に魅力的な利回りの物件が無くなり、日本以外からも資金が流入したシンガポールの不動産は既に高騰し過ぎているという状況で、その周辺のクアラルンプールに目が移っているというのが基本的な流れです。

実物資産に資金が向かうのは已むを得ないですが、海外(しかも新興国)の不動産に向かうのは少し注意を払うべきでしょう。
新興国への不動産投資はインカムゲインよりもキャピタルゲインを狙っていくものだけれども、果たして右肩上がりの成長は本当に続くのか?それについては正直なところ海外の不動産事情はきちんと語れるほど詳しいわけではないので、そんなに上がらないとは申し上げられないですし、ひょっとしたら本当に上がるのかもしれません。

しかしながら、ぜひ注意いただきたいのは、買ったはずの物件の所有権がきちんと自分のものになっているのかどのように確認するのか、ということです。間に入ったエージェントがトンズラしてしまったら、どこの誰に訴えを出せばいいのか、その時に勝てるのか、そこまで調べてから契約するようにしましょうね。

たしかに仕組債なんかは値動きが明確でなく、換気性も低いかもしれませんが、日本拠点の大手の証券会社で購入しているぶんにはブッキングされなくて、お金がどこかにいってしまったということはまずないですからね。


2012年9月9日日曜日

ランニングとビジネス

投資とは無関係です。
ブログを読んでくださっている皆様の中にランニングの愛好家は多いかと思います。
私も20年近くランニングを続けています。

ランニングは体力・健康維持に手軽で効果的であるのは言うまでもないのですが、「考えごと」に最適なんですよね。会社や家のデスクでは目の前に対処していかなければいけないことがたくさんあるので、じっくり思考を深めるということはできないですし、通勤電車も読書やスマートフォンでの情報検索に充てているので、なかなかじっくり考えごとに没頭できません。

ランニングの最中はインターネットやTVやその他メディアからの情報からは遮断されますので、他のことに興味が移らず、じっくり思考にふけることができるのです。現代社会においてはあらゆる仕事はクリエイティビティや共感力といったものが求められます。もちろんそれは膨大なインプットを基礎としないと薄っぺらいものになってしまうわけですが、インプットしたものをどうアウトプットしていくのか、お客様が何を求めているのか、あの時のあの人のコメントはどういう意味だったのか、ブログを読んでくださる皆様が何を知りたいと思って読んでくださるのか、進行中の案件の手順はこれでいいのか、等々、じっくり時間をかけて思いを巡らす時間を持つことは非常に重要と思います。

ビジネスの面だけからいうち思考を巡らす時間を「走る時間」に特定する必要はないですが、経営者のお客様にもランニングやトライアスロンの愛好家は多いことから、共感いただける方も多いと思います。

ま、面倒くさがらずに走ってみてくださいよ。習慣化するのに時間はかかると思いますが。
ちなみにおすすめのランニングシューズはアシックスです。できればきちんとしたスポーツ用品店で足型を測ってもらって、自分に最適な一足を見つけましょう!

2012年9月8日土曜日

手打ち蕎麦「土山人」(中目黒)

中目黒の「土山人」という蕎麦屋さんで昼食をとりました。
季節限定のすだち蕎麦がものすごく美味しかった。
蕎麦そのものも美味いしいのだけれど、だしがいかにも「良い鰹節と良いお醤油から上手に作りました」みたいな濃すぎずかつ深い味わいで、なんとも。すだちのさっぱり感も夏にはすごく良い。
変わり蕎麦って、がっかりさせられて「普通のせいろでいいじゃん」となることが多いのですが、これは大正解でした。

一品料理の中のだしまきたまごも関東風と関西風が選べる。
関西が本拠地で、いくつか店舗展開しているみたいので、近くに寄られる方は行ってみられるとよろしいかと。

iPhoneで写真撮るの忘れてたので、お店のHPを貼付けます。

http://www.dosanjin.co.jp/

為替の見方/誰が買っているの?

購買力平価の続いて、中長期の為替のトレンドを決めるものは何かについて考察します。
為替の方向感について、日経新聞なんかの解説だと「ヘッジファンドが仕掛けて…」みたいなことになっていますが、ヘッジファンドは振れ幅を増幅させ加速させるものではあるけれど、自分達が方向をつくる主体ではありません。

ヘッジファンドはもちろん小さい存在ではないんだけれども、銀行ではないので自分たちで好きなだけレバレッジがかけられるわけではなく、金融機関に借入や証拠金取引をお願いする形でレバレッジをかけさせてもらう必要があります。リーマンショック以降、金融機関の体力が著しく低下し、逆により高い自己資本比率を求められている環境では、リスクの高いヘッジファンドへの信用供与は抑えられている状況で、つまりヘッジファンドは昔ほどの大きな金額を動かしていないのです。

そもそも、リーマンショック以前でも、ヘッジファンドは儲けることが仕事であり、マーケットを動揺させることが仕事ではないのです。儲けることが目的なのに、動かないかもしれないマーケット・アタックなんかしないですよ。

急激な為替の動きがあると「ヘッジファンドなどの投機筋の仕掛けで」という思考停止した解説しか新聞には見当たらないのは、適当なコメントをする為替ストラテジスト達のせいであり、書きやすいキャッチーな言葉で語ってくれるストラテジストにしか取材をしないマスコミももちろん悪いのです。

また、いわゆる投機筋の為替取引は、為替そのもので収益を稼ごうという取引であり、ポジションをとれば期日までに必ず反対売買を行う必要があります。よって、売りと買いは同じ金額(=行って帰ってくる動き)なので、こういう取引は大きな流れを作るものではありません。

逆にかえせば、商取引でも投資活動でも、買ったら(売ったら)しばらくその相対通貨のままという片道の取引、そういった資金フローが為替の方向を作っていく上で重要なのです。
たとえば日本の製造業が海外に工場を建設する時の資金の支払い(外貨買い/円売り)、海外子会社から受け取った配当金の円転(外貨売り/円買い)、個人投資家の外株投信買い(ファンドによる外貨買い/円売り)といった動きです。

過去に日本の経済成長の過程で行ってきた海外投資や海外進出の蓄積でものすごい金額の対外資産があります。こういった海外投資の利息や配当の戻り、何かがあった時に円に戻していく金額は膨大であり、今後の成長力はともかく対外資産という意味では世界一の金持ち国家である日本に対しては、相場がどう動こうがそんなこと気にしないで円を買っていく主体が多くあります。
こういった資金フローが円高の流れを作っています。

しかし、経常黒字は徐々に縮小の方向にあり、このまま以前と同じだけの円高圧力があるわけではありません。といってもマスコミが煽るように2〜3年の話というよりも、5年とか10年とか先の話になります。









「バフェットの株式ポートフォリオを読み解く」メアリー・バフェット&デビット・クラーク

ウォーレン・バフェットの投資の解説本です。
投資哲学だけでなく、投資先の個社別分析がかなり充実。出版されたばかりなのでデータも最新。
かつ米国株は米国人が書いた文献の方が、やっぱり内容が深いです。
私がこれまで推奨してきたグローバル株式への投資を考えていらっしゃる方には必読かと思いました。
私も一気読みしまして、今後の顧客アドバイスに活かすべく、Book Off行きでなく、本棚に並べる本とすることにしました(笑)。




2012年9月7日金曜日

ECB理事会 国債の無制限買い入れ決定

昨日の欧米市場はアゲアゲ相場でした。
なんといってもECB理事会が国債の無制限購入(OMT)を決定したことと、米国の経済指標が予想を上回ったことが要因です。

今回のECBの判断(ただしドイツは反対)は、概ねFRBと米財務省の行ったTALFやTARP等の発想に近く、短期的には危機を沈静させる効果があります。現在を乗り切らなければ未来はないという行動原理ともいえます。

しかし、ECBは欧州で最も経済規模の大きいドイツの反対を押し切っての採択となり、今後はドイツvsその他EUの確執問題に発展する可能性を残すことになりました。

今回のOMT(Outright Monetary Transaction)は、ドイツ連銀を排除したことで、現状は「不胎化」や「3年以内」という条件がついていますが、「今後格付の悪化にも関係なく」「無制限に購入する」と声明があった通り、今後、自体が悪化していった時には何でもできると思われ、その時にドイツがどういう行動に出るか不安が残ります。キレてユーロを離脱するとか言い出しかねません。
そういった意味で、あくまでも延命措置という解釈がよろしいでしょう。

しかしながら、今回はいままでになくしっかりと具体的な行動(予定)が見えたので、しばらくリスクオンの相場展開が続くものと予想されます。

昨日は欧州銀行の株も、これまで国債保有残高が多くリスクが高いと言われていた銀行の株価も急上昇しています。

これまで、リスク資産に資金を回せていなかった投資家が、リスク市場に再び還流することになりました。これまで、マイナス金利でも安全資産で運用していた投資家がが、昨日は欧州の資源関連、コモディティー、(指標の良かった)米株などに向かいました。

しかし、昨日のECBの声明後のドイツ連銀(バイトマン)の発表を慎重に読み解くと、「発表された国債市場への介入計画は、中央銀行が最終的に、相当なリスクを多数の国の納税者に再配分してしまうという危険も含んでいる」とし「しかし、そのようなリスク共有を合法的に許可することができるのは、民主的に選出された議会と政府だけだ」と即座に反対の声明を出しています。

今回のECBの行動は通貨(EUR)そのものの信認を失う行動ですが、さらに欧州最大の経済大国からでたコメントに、本来ならば信認を持って投資する各国準備資金や年金等のリアルマネーは、逃避する可能性があります。

まだまだ予断は許さない状況ですね。

本日は投資家目線というよりも、思いっきり金融機関目線の投稿になりました。


2012年9月6日木曜日

為替の見方/購買力平価

中長期の為替のトレンドを決めるものの一つに購買力平価というものがあり、いまの為替のトレンドをわりとうまく捉えている考え方かと思います。
ある程度投資の勉強や経験を積まれた方にはすごく普通の考え方なのですけど、聞いたことがあるけれどいまだに腹に落ちていないという方もいらっしゃるようなので、ここで再度確認しておきます。

話をわかりやすくするために、1米ドル=100円とします。
100円で買えるノートが翌年にはデフレによって99円に値段が下がっていました。
ノートの値段は下がったけれど、モノとしてのノートの価値は変わっていないで、これは逆に円の貨幣としての価値が上がったということになります。
一方、米国でまったく同じノートが1米ドルで売られています。翌年はインフレのせいで1.02米ドルとなりました。同じくノートの値段は変わっても、モノとしてのノートの価値は変わりません。ということは米ドルの貨幣価値が下がったということになります。
以上のようにモノの価値を基準として、円の価値の上昇と米ドルの価値の下落という歪みを為替レートが調整すること。これが購買力平価の基本的な考え方となります。
いわゆるビッグマック指数といわれるものがこれにあたります。

で、日本はここ何年もデフレの国。現状でざっくり年1%程度のデフレ。
米国は経済成長が衰えたりとはいえどもインフレの国。現状は年2%程度のインフレ。
ネットで3%の差があります。つまり円が実質で3%強くなっていく計算

もし米ドルの金利が高ければ、金利でお金が増えていくので、日米金利差をインフレ率ギャップと差引させます。しかし米国の金利はいまや円とほとんど変わらぬレベルにつき、ざっくり計算上は加味する必要はありません。

この購買力平価による円の価値の上昇が、じわりじわりと円を押し上げる圧力となっているのです。おまけに日銀は2月は「1%のインフレターゲット」を宣言するなど威勢がよかったのですが、本気でインフレに持っていく気は感じられないですからね。

黙っていると円は強くなる。これがベースです。

2012年9月4日火曜日

為替は難しい?

お客様が「為替を予想するのは難しいね」とよくおっしゃいます。
タイトルに「?」をつけてるってことは、そうじゃないですよという話が始まると思われたかもしれませんが、じつは私も難しいと感じます(笑)。

株についてはその投資理論でノーベル賞とった人はいますが、為替でノーベル賞をとった人はいないわけですから、確たる理論が無いというのが実情なのです。

為替を難しくしている一番の理由は何かというと、為替の値には理論的な適正値といえるものがないということです。
これが、株であれば、時価総額が持っている資産と負債の清算価値を下回れば割安だといえますし、将来の予想収益から適正な株価を判断する様々なフォーミュラは一定の説得力を持っております。

そもそも為替は「ある国の株価」ではなく、「二国間の通貨の交換比率」でしかありません。もし仮に、通貨の流通量は国の何か(金本位制だったらゴールドの保有量)の何倍までしか発行しちゃダメですよとか、GDPを基準にどれくらいまでですよ、という国際ルールがあったとして、かつ各国が遵守しているという状況であったとしたら、流通量をベースに交換比率決まってくるみたいなメカニズムを導き出すことができるかもしれません。その場合は為替を「ある国の株価」的な解釈をすることは可能でしょう。

しかしながら現実は、流通量を制限する国際ルールがあるわけでもないですし、仮にあってもルールが遵守されているかどうかはチェックできなません。

おまけに為替の取引量は一日だけで4兆ドル!どんな主体がどんな意志をもって為替取引を行っているのか全貌を把握するのはすごく難しいです。
さらに政府の思惑が金利の調整、資金の供給量、市場介入といった様々な手段で影響を与えてくるので、非常に難しい。

そんなことで、予想が難しい為替相場ではありますが、円の金利はずっと低いままで株の成長力は他国著しく劣後している以上、日本人が資産運用に取り組むには海外の資産クラスへの投資は避けて通れません。がんばって為替と付き合っていかざるを得ない状況です。

購買力平価の理論や、2年金利の金利差、いろんな物差しを使うことで、長期の方向感や足元の動き方には予想(想定)可能なところもあります。このブログではそういった為替との付き合い方についても少しずつお伝えしていきたいと思います。

2012年9月3日月曜日

「ロムニー大統領で日米新時代へ」日高義樹

米国大統領選挙も佳境に入ってまいりました。
世論調査ではロムニーが支持率を伸ばし、オバマが拮抗し始めております。
現職有利という歴史を覆し、ひょっとしてひょっとするかもしれません。
金融界としては低所得者層ばかりを優遇するオバマよりも、きちんとしたビジネスセンスを持つロムニーの方がありがたいんですよね。(どちらが多くの人の幸せに役立っているかという議論とは別ですよ)
来年以降の米国、いや世界経済の方向を予測するためにも、選挙の行方を考察することは不可欠でしょう。
ワシントン・ウォッチャーの大御所である日高義樹氏の著作に目を通しました。
これを読むとオバマの政治は失策ばかりで、再選に値する成果は何も残していないと言えるかもしれません。




2012年9月2日日曜日

ストレッチングボード

小生はランニングやウエイトトレーニングの等のワークアウト好き。
「健全な魂は健全な肉体に宿る」をモットーに、週に2〜3回のトレーニングは欠かせません。
といっても、年齢も年齢だからケアはもっと重要で、栄養補給と睡眠とストレッチにはかなり気をつかっております。
本日、ご紹介するのはこちらのストレッチングボード
ハムストリングス筋(太腿の裏からお尻にかけて)のストレッチをサポートしてくれるので、腰痛予防に最適です。
このボードに角度をつけて、タイマーを3分程度セットして、立位体前屈の姿勢で立つだけ。500g〜1kg程度の軽い重りを持つと、よりストレッチします。その際、ポイントは重りを握りしめないこと。腕だけでなく上半身全体が緊張し、ストレッチ効果が失われるので、重りは指でひっかける程度のイメージ。とにかく全身脱力しましょう。
お手軽にストレッチできるのでおすすめです。


2012年9月1日土曜日

「エマージング通貨と日本経済」棚瀬順哉

JPモルガン・チェース銀行のチーフ為替ストラテジストである棚瀬氏の著作。
「高金利であること」や「成長力に基づく将来的な通貨高期待」でしか語られることのなかったエマージング通貨について、大手金融機関のストラテジストらしくきちんと分析した良書です。
まずはエマージング通貨の重要度・注目度が増してきている過程と、日本企業の業績にどいった形で影響を与え、それが影響度が増している現状を説明。
次にエマージング通貨の動向を分析するためのポイントを説明。リスクオンの時に買われる通貨であること。各国当局の思惑に左右されやすく、経常赤字の少ない国の通貨ほど通貨高阻止の介入の可能性が高いことえお説明。
そこから、各通貨の特徴の説明に入ります。人民元、ブラジル・レアル、インドネシア・ルピー、トルコ・リラなど、注目されている通貨はすべて網羅されております。
投資対象としてエマージング通貨を考えている方には必読でしょう。




2012年8月30日木曜日

期間2年以内

ここ数年の傾向として、多くの富裕層の投資家が個別の投資対象を選別する際の期間は「2年以内」。そこにロジカルな根拠はないのですが、どのお客様も「うーん、長くて2年だね」と2年以内を選択されます。2年と3年の違いはロジカルではないんですけど、なぜかほとんどのお客様が同じ趣向。

おもしろいもので、プロの世界でもそんな考えを持っている人が多いようで、完全なるプロの世界であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ:対象企業が倒産したときの保険みたいなもの)の料率も2年と3年で格段に変わってくる。3年と5年にはそこまで劇的な差は無い。

1年だとたいしたリターンが得られないことがわかっていて、がんばって期間を延ばしてみて、それが2年ならば「今年はこうで、来年はこうだから、それと数ヶ月」みたいな予想ができる(気がする)ものの、3年ともなると何が起きるかわからないという気分になるんでしょうね。

これについては「もっと長くてもいいじゃん」と考えるべきなのか、「甘いですな、2年でもわかりませんぜ」と考えるべきなのか、ちょっとコメントが難しいです。

一つ言えることは、これがマーケットの雰囲気だということです。

2012年8月29日水曜日

投資妙味?

先進国の金利が軒並み低いせいで、富裕層投資家の関心は「おもしろい(=投資妙味のある)」債券に目がいっちゃってます。
でも、正直言って、こういうものばかり買っていくのって危険だし、どうかと思うんですよね。

たとえば8/27の投稿で紹介したシャープの社債とか、いまほどボロクソ(今日の価格は50台?!)になる前(たとえば7月の前半頃)ですと、残存期間2年で利回りが2.5%くらい。「シャープでしょ?うちのテレビもAQUOS亀山モデルだよ。ぜったい大丈夫じゃん。これは割安!」みたいなノリで投資しちゃった方が結構いらっしゃいました。

そんな感じの「大丈夫そうだけどなぜか割安なもの」が最近はたくさんあります。
投資してはいけませんと言うつもりはないです。東電債とか額面100%で償還される可能性が高いものが多いのも事実です。しかし、その類のものばかりを、安定運用の部分として債券に充当しようと思っている資金のうち7割まで投資するようであれば、それは行き過ぎですよとアドバイスします。

リーマンショック以降はテールリスク(確率的に起きる可能性の極めて低いリスク)が具現化することは頻繁であり、いくつもそんなものに投資していたら1つくらいはぶっとんで、リスクプレミアムで得たリターンなんて、即座に蒸発しちゃいますよ。

売れらているものには売られるだけの理由があります。
それをしっかり分析しましょう。
今の環境下ではその「悪い理由」はもっと悪くなる可能性が高いです。

逆に投資してもいい割安なものってなんでしょう?
1つは機関投資家が決算前のポジション整理のために売っているもの、つまり需給バランスが崩れて売られているもの。これは買いです。
もう1つは、機関投資家がテールリスクをおそれ過ぎて売っているもの。たとえば同じ発行体で同じ年限なのにUSD建とEUR建で利回りが著しく乖離しているもの。これも買いです。機関投資はユーロの割合を減らすという方針が決まればユーロを売っていくしかないのです。そうするとユーロ建の資産の価格は下がります。
ユーロを分散投資の観点から一定金額を長期保有するつもりであれば、投資妙味はあると言えます。

とにかく「割安っぽい」というノリには気をつけましょう!

2012年8月28日火曜日

Procter & Gamble Co. / PG

個別銘柄ご紹介の第一弾はProcter & Gambleです。プロクター&ギャンブルなんて知らない?P&Gのことです(笑)。だったらご存知ですよね。
パンパース、パンテーン、ウエラ、アリエール、ジレット、ダウニー等のお馴染みのブランドを中心に、約300のブランドを持つ世界最大の一般消費材メーカーです。

私が外国株への投資経験のないお客様とコミュニケーションする際には、下記のポイント検討するようお話しております。
1)まずは名前を知っている会社を選ぶこと。
2)株価も急落の可能性が低く、急落しても安定した業績が株価の下支えになること。
3)中長期での業績の成長と、それに伴う株価の成長が期待できること。
4)その中長期の成長を達成するために新興国の売上割合がある程度の割合あること。
5)配当利回りが高く、かつ一時的でないこと。

上記ポイントを満たす銘柄としてP&Gは非常に魅力的な銘柄といえます。

まずはyahoo financeの米国のサイトを開いてください。
http://finance.yahoo.com/
そして左上部のGet Quotesにシンボルコードである「PG」と入力。

Div & Yieldが配当と配当利回りを表しています。米国債10年の金利が1.635%という低金利の環境下では、一株に対し年間USD2.25、配当利回り3.4%は悪くないですよね。
しかもYahoo financeからはデータをとれませんが、配当の実額が毎年毎年増え続けているのです。たとえば2001年はUSD1.41。

次にチャートの下の「5y」をクリックしてください。
5年間の株式チャートが表示されます。

リーマンショック後の株価の落ち込みはあったものの、約1年でもとのレンジに回復し、その後の安定的な推移。株なので下落することはあるのですが、生活必需品を扱っており売上が安定していることから、それが株価の下支えになっています。
このチャートは安心じゃないですか?投資対象としては債券に近いイメージですよね。

P&Gはブランドが多く商品カテゴリーの面で分散がきいている上に、地域の分散もきいています。2011年の売上の41%はお膝元の北米、20%が欧州、16%がアジア、14%がアフリカ、9%がラテンアメリカという内訳です。このうち成長エリアである新興国の割合は年々増加しているという状況。

へたなファンドマネージャーにお金あずけるよりも、P&Gの経営者にお金をあずけた方がよくないですか?(笑)

とはいうものの、今は買い時ではないでしょう。
いくら長期的な成長が期待できる銘柄とはいえ、なにもレンジの高値で買う必要はありません。60ドルから67ドルあたりをいったりきたりしていますので、そのうちマーケットにネガティブなニュースが流れて、いわゆる「リスク・オフ」相場になった時に買っていきましょう。

2012年8月27日月曜日

シャープ社債について

シャープの経営不振により、株価が急落していることは連日の新聞や雑誌の報道を通してみなさまご存知かと思います。
そうした環境のなかで、個人富裕層の顧客や事業会社のところには、証券会社が同社の社債が割安だということで購入を奨めております。

債券は額面が1億円単位で取り扱われているので、リテール投資家にはモノが回ってこないでこうした動きはご存知ない方も多いかもしれません。債券は基本的には機関投資家のマーケットで、一部富裕層や事業会社も参加しているというマーケットなのです。

現状、2014年償還のシャープの普通社債の価格は額面100に対して75あたりで取引されておりますので、証券会社各社は「額面で償還されたらすごい利回りですよ」「今後、銀行団の支援とそれに伴うリストラやさらには増資に伴う希薄化で、資本についてはさらなる毀損は避けられないもののDebt(借入や社債)は守られるんではないでしょうか?」みたいなトークで売り込んでいるようです。

たしかに昔ならばこういう名の通ったブルーチップ企業であれば、社会的影響の大きさから判断して潰されはしないだろう、という感じはありましたが、民主党政権は過去の慣習を断ち切るポーズをとるのが好きなので、潰しちゃう判断をすることもあり得るんですよね。

記憶に新しいところでは、ルピーダの企業再生ADRがあっさり受理されてしまったのはその証左。
もう過去の事例からだけで判断するには難しい時代になっております。

シャープについては来年9月の転換社債2000億円をどうリファイナンスするのか全く目処がたっていない状況。しかも頼みの綱のホンファイ(台湾企業)はシャープの決断力の無さ、そのくせプライドだけが高いとおう姿勢に嫌気がさしているということも聞こえてきます。

今の状況では大丈夫そうと言える材料は一つも無いと言えるでしょう。
まぁ、JALはCDSの回収率は20%であったのに対し社債は全額守られましたので、その事例に賭けてみるのも悪くないかもしれません。






2012年8月23日木曜日

グローバル優良企業への株式投資(4)/何を買うか?

主に米国で上場されているグローバル企業に投資する場合、どんな銘柄に投資すべきか。
今後少しずつ個別の銘柄も紹介していく予定ですが、ウォーレン・バフェットの投資している銘柄はバークシャー・ハサウェイの保有銘柄として公開されておりますし、規模の大きい投資信託の月次レポートを参考にして、まずは自分の知っている銘柄、値動きのマイルドな銘柄、から選んでみるのが良いと思います。

調べる時は銘柄名とあわせてシンボルコード(日本では4桁の証券番号)も調べてください。ヤフーファイナンス等で情報を検索する時に必要なります。
たとえばジョンソン&ジョンソンならばJNJ、インテルであればINTC、マクドナルドならばMCD。シンボルコードはwikipediaの日本語版でも調べられます。

参考までバフェットの保有銘柄を上位からあげていきます。
コカ・コーラ(KO)
ウェルズ・ファーゴ(WFC)
IBM(IBM)
アメリカン・エキスプレス(AXP)
P&G(PG)
ウォルマート(WMT)
クラフトフーズ(KFT)
USバンコープ(USB)

どうでしょう?
ご存知の名前が多くないですか?




2012年8月21日火曜日

アセットアロケーション vs 投資タイミング

ずっと株の話だけをエントリーしていると、株専門のブログと思われてしまいますので、本日はちょっと寄り道致します。
(私の専門は富裕層向けの資産運用アドバイスであり、運用資産全体のバランスやアセットクラスの選択や投資タイミングを考えることを本業としております。)

運用資産全体の管理のノウハウといえば、モダンポートフォリオ理論ですよね。
モダンポートフォリオ理論では投資リターンを決定する要因の80%はアセット・アロケーション(=資産配分)であり、投資タイミングは小さな要素に過ぎないとされております。

たしかに経済(とくに理論のデータ基となっている米国経済)が右肩あがりに成長してきた90sまでであれば、そうであったでしょう。
「長期」で見れば、市場変化の振幅も上昇トレンドの中のブレの一部でしかないですし、相関性の低いもの、逆相関のものを組み合わせることができれば、そのブレの振幅も抑えることができました。

しかし、いまやインターネットの普及と金融のグローバル化で、あらゆるアセットクラスは同一方向に動くようになりましたし、危機を抑え込むための過剰な流動性供給のせいでブレ幅が大きくなっております。

市場環境がモダンポートフォリオ理論が確立された90sとは大きく異なっている以上、投資戦略の変更も必要になってきております。

世界経済(とくに先進国経済)の強い成長が期待できない今の時代は、繰り返すやってくるリスクオン/リスクオフの状況下で、「お金がどこへ向かっているのか」を見極め、きちんと投資のタイミングをはかっていくことも重要になっております。

もちろん長期分散投資は今でも重要な考え方であります。分散のきいたポートフォリオはリーマンショック時にもやられは少なかったですし、戻りも享受することができました。

長期投資を前提とした優良資産の買い増しにしても、短期のトレーディングを前提とした買いであっても、市場の緊張感の高まった時=あらゆるアセットクラスに割安感がでてきた時に投資していくのは望ましいでしょう。

そういった意味で、富裕層のお客様はいまは投資のタイミングではないと考えていらっしゃいます。

2012年8月20日月曜日

DJミックスが無料で聞けるサイトThefuture.fm

これはすばらしい!
PC作業中のBGMに最適。

http://www.thefuture.fm/#/

グローバル優良企業への株式投資(3)/米国株vs日本株

ここまで読んでいただいて、
「新興国の経済成長力を間接的に享受するにはグローバル企業の株式がよいということはわかった。でも、わざわざ馴染みのない外国株にいかなくても、日本にだって世界的なシェアを持ってるグローバル優良企業はあるわけで、そっちに投資しておけばいいんじゃないの?」
と思われる方も多いかと思います。
半分正解です。

英語のサイトから情報をとるなんて煩わしい!為替リスクは一円たりともとりたくない!とにかく日本の企業じゃなきゃ嫌だ!というくらい外国株に敷居の高さを感じられて、まずは日本企業から銘柄選択をしたいんだ、ということであれば、新興国の成長を享受できるグローバル企業から選ぶのが正解です。JTやコマツ、ユニチャーム、セブン&アイなど、魅力的な株はいくつかあると思います。

しかし!
米国の株式市場は日本よりも歴史の長さ、マーケットの規模、あらゆる面で日本よりも成熟しており、経営者は株主への還元(株価の上昇&配当金)を非常に重視しております。
会社は株主だけのものではないですし、一時の行き過ぎた株主重視の経営はどうかと思いますが、日本企業のようにリスクをとって投資している株主を軽視しすぎるのもどうかと思います。

ここで一例をあげます。
1980年に日本の国際優良銘柄代表のトヨタと、米国の同業種であるフォードの株を買って、配当金も再投資に回していった場合のリターン(=トータルリターン)はどちらが高いでしょうか?

直感的には「世界のトヨタ」と「一時は潰れかけたフォード」を比較したら、そりゃトヨタの方が高いんじゃないの?というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかしながら、正解はフォードの勝ちなのです。

トヨタのトータルリターンが533%(年率5.95%)に対して、フォードは2433%(年率10.16%)です。ちょっとショックじゃないですか?
為替はずっと円高でありましたので、公正を期すために、為替を加味したフォードのトータルリターンをはじき出すと、それでも814%(年率7.18%)。
強烈な円高のせいでだいぶ見劣りはしますが、それでもトヨタよりリターンは高いですね。
同業の比較ということでフォードを例に出しましたが、フォードを推奨するつもりはありません。

これが推奨銘柄の一つであるP&Gにもなると、米ドル建のトータルリターン2530%(年率13.88%)。為替を加味したの円建トータルリターンは2168%(年率10.27%)とトヨタを大きく凌駕することになります。

トヨタはたしかに良い企業です。しかし投資家にとって良い企業かというとクエスチョンマークです。投資家にとって良い企業とはあくまでも長期的なリターンを約束してくれる企業なのです。投資したお金がリスクに見合っただけ増えなければ意味ないですから。

また近年の外国人投資家の日本株離れは目を覆わんばかりです。外資系証券会社から日本株のリサーチャーがどんどんリストラされていることが全てを物語っています。
短期的な急騰はあり得ますが、日本株に持続的な成長を期待するには非常に厳しい状況です。

私のお客様である富裕層投資家もなじみのある日本株から、多少の不案内さは享受して外国株にシフトしつつあります。おもに企業経営者の方々達ですよ!日本の経済をわかっていらっしゃる方々がそういう行動に出ているのです。
彼らはおっしゃいます。

円が強いうちに海外の優良資産を買っておこう!

2012年8月18日土曜日

グローバル優良企業への株式投資(2)/先進国vs新興国

先進国vs新興国というタイトルの付け方をすると、「新興国の方が経済成長しているから、新興国の株を推奨!ってことかな」と思われる方が多いと思います。
結論を先に言ってしまいますと、長期保有を前提とした優良資産の選別という観点では先進国のグローバル企業株式の方が相応しいと思われます。

今の世界経済の成長エンジンが新興国であることには異論はないと思います。
かつて世界経済の成長エンジンを担ってきた日米欧は重債務に陥っており、多少の経済成長があったとしてもそこから生み出されるお金は、次の成長への投資でなくレバレッジ(借金)の解消に充てられます。先進国が自律的な成長曲線を描いていくのには

一方、新興国のGDP対比債務率はここ10年で大きく低下しており、生み出された富は次の成長のための投資に充てられるという好循環になっております。
また人口の増加、社会基盤・生活インフラの整備が着々と進んでおり、加速と失速を繰り返しながらも経済成長を続けていくことは間違いないでしょう。

じゃあ新興国でしょ!成長しているところに投資していかなきゃ!50s-60sの米国と同じでしょ。いい会社の株を買っておいてほっとけば2倍になるんじゃない?
証券会社も「対象のアップダウンはありますが5年みてください。」みたいなこと言ってるじゃん・・・。

と思われるかもしれませんが、新興国株式投資で投資金額が30%とか半分とか毀損してしまった方も少なくないですよね
たしかに爆発的成長力はあるのですが、過去の負けを取り戻すのにどれくらいかかって

50s60sの米国の成長と今の新興国の成長と決定的に違うことがあります。
当時の米国株式市場にお金を入れていたのは他国からの投資でなく米国の投資家のお金であり、何かがあった時の自国へ資金還流で資金流出することがなかったのです。欧州をはじめ海外からの投資ももちろんありましたが、大戦で傷ついた自分の国に投資しておくよりも米国に入れておいた方がよっぽど安全なので、米株を売って米国債にシフトするようなオペレーションはあっても、自国に戻すような動きにはつながらなかったのです(当時は資本の移動が現在のような自由さが無かったこともありますし。

一方、現在の新興国はどうでしょうか?
成長スピードが衰えたとはいえ、お金を持っているのは先進各国であり、新興国への投資を支えているのは先進国のマネーです。で、その先進国が自分たちの足元でやれリーマンショックだ、ギリシア危機だ、ということになると、とりあえず何か起きた時のために手元に自国通貨でキャッシュで置いておこうということになり、つまり新興国から容赦なくお金を引き上げてしまうことが、たびたび起きてしまうのです。

では、どうすれば新興国の成長力を投資リターンに結びつけることができるのか?
新興国にブランドが浸透して販売網を持ち、同エリアの売上の割合がそれなりに大きいグローバル企業の株に投資することで、間接的に新興国の成長力を享受することができます

とくに生活必需品や一般消費財を扱っている会社(P&G、ジョンソン&ジョンソン、マクドナルドetc)は景気動向に左右されにくく、安定した業績の推移が株価の下支えになるので入門としてはおすすめです。

個別銘柄の推奨はまたあらためて。

2012年8月17日金曜日

グローバル優良企業への株式投資(1)/Back to Basic

リーマンショック以降の資産運用はBack to Basicの一言に尽きます。

かつて年率5%程度のリターンでは満足できず、年率10%以上のハイリターンを求めて行き着いた先がプライベートエクイティや仕組債であったわけなのですが、こういった複雑な仕組みのものはそれと引き換えに流動性(=換金性)が著しく損なわれているため、いざ何かがが起きてしまうとどうにも対処ができなくなってしまうわけです。

それに懲りた富裕層投資家のお客様がいま一番重視しているのは流動性の確保。併せてテールリスク(確率論的には極めて起きる可能性の低いリスク。でも最近はそれが頻繁に起きている)に備えたリスク分散。

結果、ある程度のリスクを許容してリターンをとりにいく投資家の資金は、ベーシックな投資手段である株と債券に向かっているのが現状です。

とくに誰もが知っているようなグローバル優良企業の株式が選好されています。ウォーレン・バフェットの大好きなコカ・コーラやジョンソン&ジョンソン、マクドナルドといった銘柄群です。不景気だからといって、ギリシアが破綻しそうだからといって、こういう企業群が倒産すると思いますか?

なぜこういう銘柄がよいのか?
具体的にどういう銘柄がよいのか?
どうやって情報を集めればよいのか?
次回以降詳しくご説明いたします。


2012年8月15日水曜日

ブログはじめました

はじめまして。
お猿導師と申します。
大手金融機関のプライベートバンクにて個人富裕層や事業会社への資産運用のアドバイスを生業としております。
いまの金融マーケットや投資アイデア、世の中で起きていることについて、金融機関の立場からだけではなく、顧客である個人富裕層(とくに企業経営者)たちの視線で語っていきたいと思います。