2012年9月25日火曜日

「なぜ日本経済じゃ世界最強と言われるのか」ぐっちーさん

金融系ブログでも最もクオリティの高い記事を綴っているぐっちーさんの著書。
過去のブログの修正加筆ですが、今読んでも「鋭い!」の一言。
金融界で起きている話題を題材に、金融マーケットが必ずしも公平でないこと、いろんなバイアスがかかって動いているということ、マスコミが騒ぐほどには不公平でもなく正しい裁定も働いていること、が学べると思います。
資産運用/投資活動をする方には必読の書と言えます。




「世界の99%を貧困にする経済」ジョセフ・E・スティグリッツ

米国経済学者スティグリッツ教授による著作。
現在の世界経済の仕組みの病巣を鋭く、しかもこれでもかというくらいしつこく指摘した良書。
現在の米国社会は30年前とは比較にならないくらいに貧富の格差が開いており、中流未満の家庭の子弟はまともに教育を受けることすらできない以上、機会平等という米国の魂はもはや過去の話/夢物語になっている。
富裕層の税金を抑え彼らの消費を刺激することが経済の活性化につながるという考え方がなぜ誤りなのか、なぜそういった誤りを信じ込まされているのか、等々の論点をじっくりと解説しております。
ボリュームはありますが、週末にでもじっくり読み込んでください。


2012年9月24日月曜日

QE3で上昇が期待される資産クラスの本命US REITに投資しよう!!<iShares Dow Jones US Real Estate>

9/19のエントリーでQE3で恩恵を受ける資産クラスとして米国の金融機関の株(とくにバンカメ)をおすすめしました。
今日はQE3でより直接的に上昇が期待できる資産クラスの本命として米国不動産を推奨します。といっても不動産現物を買っていくのは相当ハードルが高いことから、投資対象としてはまずUS REITを考えてみましょう。

US REITについては既に価格が上昇してしまっており割安感はないですので、今から買っていくのに抵抗を感じらるれるかもしれません。しかしながら、QE3はこれまでのようなマーケットの底抜けを防ぐというよりも、底打ち感のあるマーケットに強い追い風を送るような環境下で実施されたことを考えると市場には既に割安なものはほとんど無く、むしろ今は「割安なものを物色していく」というよりも素直に「上がりそうなものを買っていく」局面であります。米国の不動産は既に底入れから回復に転じており、「効果がでるまで続けるまでMBSの買い取りをする」という方針を考えると、米国不動産の当面の堅調な動きは期待してよいのかと思います。

さて、何を買っていくかですが、
SIMON PROPERTY等の個別のUS REITはトラスト方式をとっており、株と同じ税制とよいのか不明確であることから、日本の金融機関では取り扱いをしておりません。
したがって米国のREIT市場に投資していくには「なんとかグローバルリート」みたいな投資信託の形でアクセスするか、ETFの形でアクセスしていくか二者択一なわけですが、前者は販売時およびランニングの手数料が高く、たこ足配当というなんとも経済合理性のないことを行っているので、どうかと思うのですよ。

そこでコスト面と、米ドル資産に米ドル建で投資できるETFの利用をおすすめします。
具体的にはiShares Doe Jones US Real Estateは米国のメジャーなREITを組入れたETFであり、分散がきいているのでよいかと思います。
シンボルコードはIYRです。
Yahoo!Financeの左上に入力して、チャートや配当利回り3.39%をチェックしてください。
http://finance.yahoo.com/

またiSharesのWeb Siteでは概要や実績、運用報告が確認できます。
http://jp.ishares.com/product_info/fund/holdings/NYSEARCA/IYR.htm?periodCd=d

繰り返しになりますが、今は割安なものを物色するよりも、素直に上がりそうなものを買っていく時期。流動性の高い投資対象であれば環境が変わった時の、方針転換(損切りも)も容易ですからETFは非常に優れた投資手段と言えるでしょう。

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2012年9月23日日曜日

CAMICIANISTAの廉価でハイクオリティのドレスシャツ

みなさんはビジネス・スーツ用のワイシャツってどこで買われていますか?
小生はセレクトショップのオリジナル・シャツ(だいたい12,000〜14,000円の価格帯ですかね)を買うことが多かったのですが、最近のお気に入りはCAMICIANISITAというドレスシャツ専門の通販サイトで買っています。

セレクト・ショップのオリジナルとほとんど遜色のない白いドレスシャツがなんと6,800円!!圧倒的に安い。
これまでも安いシャツを売っているお店はいくつかありますが、そういうシャツはセレクトショップのオリジナルにと較べちゃうと生地も縫製もイマイチで、高級感が値段相応に落ちてしまっておりましが、ここのシャツは問題ナッシング!!

というのが、ここの親会社はセレクト・ショップのストラスブルゴと同じなので、要するに同じクオリティのものを店舗維持コスト(賃料、人件費)をかけずに提供してくれるという仕組み。

経済成長にとってはデフレは足枷でしかないんだけれども、こういうハイクオリティのシャツがこの値段で買えるというのはちょっと嬉しいですね。

雑誌やら日経新聞の折り込みやらでけっこう紹介されているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、高級インポートシャツやテーラードのシャツにこだわるレベルの方以外にはおすすめですよ。

http://camicianista.com/

2012年9月21日金曜日

「世界でたたかう英語」山元賢治/小西麻亜耶

アップル・ジャパンの前社長である山元賢治氏の英語本。
スティーブ・ジョブスやティム・クックとの会話の息づかいが感じられる良書。
英語上達には気に入った文章の暗誦が有効というけれど、飽きずに憶えてみたくなるようなテキストに今まで出会えてなかったのだけど、これは実戦的な会話でかつ、内容が良いから憶えてみたくなる。いくつか暗誦してみることにします。
おすすめです。




2012年9月19日水曜日

為替オプション付預金はほんとうに不利なのか?

二重通貨預金、Dual Currency Deposit、プレミアム預金、と呼称は色々ありますが、20年くらい為替を使った投資商品として人気であります。

いわゆる外貨のプットオプションを売ることでプレミアムを得るものであり、つまり不利な価格で買う義務を負っているわけで、要する実勢よりよくないレートで元本が外貨に交換される可能性を秘めているわけです。

「金融商品に気をつけなさい」系の主張をする経済学者や投資アドバイザーは、「意味がない」「リスクの割にリターンが限定的」と声高に批判される方がいます。

一回限りの取引の損益表(ペイアウト)を見るとたしかにその通りなのですが、それを理解した上で、仕組預金が好きというお客様がかなり多くいらっしゃっています。シビアな経済合理性を求める企業経営者がですよ。なぜでしょうか?

一つには、為替(とくにドル円)の振幅が株ほど大きくなく、負けてしまった時の毀損率が株に投資するより遥かに小さいこと。

二つ目の理由として、90年代初頭までの為替相場はいざしらず、昨今の為替為替はいったんレンジが形成されるとしばらくその範囲で動くことが多く、結果として円貨が外貨にかわっても、外貨を元本に円貨に戻りで条件を組み、利金を受け取りつつ、どこかの段階で元本がもと戻りましたという繰り返し、外貨と円貨に行ったりきたりがよくあるのです。

三つ目は、上記二点を前提として、楽しいから、勉強になるから、めんどくさくないからという理由。

為替証拠金取引でポジション作ったら、利食いや損切りのタイミングを考えて常にヒヤヒヤであり、本業のビジネスの片手間で取り組むには神経を使い過ぎるのに対し、仕組預金であれば期間をたとえば一ヶ月であれば、エントリーのタイミングで腹をくくってしまえば後はそれほど忙しくないこと。
エントリーのタイミングで、たとえば一か月毎に為替マーケットの状況をアドバイザーとのディスカッションを通してアップデートし、どういう戦略で条件を組むのか、あるいは様子見をするのか、それが為替の相場観を養うのに良いとコメントされる方は非常に多いんですね。

あせらずにきちんと「様子見」の期間を持つことができる方であれば、この1年はレンジ相場ですから、多くのお客様がざっくり5〜6%程度の収益はとれている状況です。

買い推奨!Bank of America (BAC)

今回の量的緩和(QE3)が過去2回と大きく違うのは、発動のタイミング。

最初の量的緩和はリーマンショックの後で、経済が本当に底割れしそうな時に、それを防ぐために実施しました。あらゆるアセットクラスは売り叩かれた後なだけに、株価は急回復を果たしました。2回目も1回目ほどではないですが、危機的状況を回避するために実施されたため株価は素直に買いに反応し、急激に反発しました。

今回は雇用の回復が遅れているものの、住宅関連の指標は明らかに底打ちから改善の方向に、企業業績は堅調で、米国に関する限り金融システムの崩壊の懸念は遠のいている状態でのQE3発動ですので、なんでもかんでもイケイケどんどんという勢いはあまり感じられません。既に株価は上昇してますからね。ここからどこまでいくんでしょうか。

そんな中、今回のQE3で有望なアセットとして、MBSの買取で最もメリットを受けることができる米国金融株を推奨します。

とくにカントリーワイドを傘下に抱えるバンク・オブ・アメリカはメガバンクの中では不動産関連の重荷が最も大きいと言われております。重荷となっているMBSをFRBが無期限で買い取ってくれると言ってるわけですから、これは株価は上昇する可能性は極めて高いといえるでしょう。
一方、少なくともCDSを見る限り倒産リスクはかなり遠のいておりますし、そもそも商業銀行が潰される可能性は低いと考えられることから、株価の下値リスクも限定的と思われます。

ただし、今の時代くるくる状況が変わりますので、このブログで推奨している長期保有前提のグローバル企業の株式と違って、「上がりきったら売ってしまう」短期投資としての推奨です。

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2012年9月16日日曜日

脂肪燃焼に最も効果的な方法ー脂肪なんてボンボン燃やしてしまえ!!

何年も継続的にジムに通ってトレーニングしているのに、全然痩せないということはないですか??

何曜日にジムに行っても必ず見かける、でもなにやらふっくらした人っていますよね。
週に2日はジムに通ってマシンでトレーニングして、トレッドミルで30分走っているのになかなか痩せず、目標とする体型や体重に届かないという人は案外多いかと思います。

そういう方は総じてトレーニングの強度が弱すぎるのではないでしょうか?
じわっと汗かきましたくらいのトレーニングでは脇腹の脂肪は落ちませんぜ。

Tarzanとかあるいはファッション雑誌のトレーニング記事を読むと、「20分以上続けられるの軽めの運動が脂肪燃焼に最も効果的」みたいなことを言っていますが、それはあくまでいままで運動習慣の無い人が対象の話です。

そういう人が軽めの運動を始めると最初はそれなりに脂肪が燃焼するんですけど、人間の対応力・順応力は割とたいしたものなので、2ヶ月も続けてるとあっという間に慣れてしまって、脂肪燃焼の信号が送られなくなっちゃうんですね。軽いトレーニングはなにもやらないよりはずっとずっとマシなんですけど、体型を変えるほどの刺激にはならないんですよ。

プラトー(停滞)に陥ってるトレーニー、時間がないビジネスマン諸氏におすすめするのがインターバル・トレーニングです。
簡単にいうとゼーゼー息があがる激しい運動と短い休息を何セットか繰り返す方法です(笑)。

筋肉をつけるためには高重量低回数(8〜10回程度なんとかできるという強い強度)のトレーニングが良いとされていますが、これだけだとエクササイズの時間が短すぎて脂肪燃焼には十分な効果が得られません。ジョギング程度の軽い強度のトレーニングは前述の通り効果は疑問です。(立てなくなるくらい高強度のウエイトトレーニングの後のジョギングには効果あり)

中くらいの強度で3分くらいできる種目を何セットこなす(トータルで15〜20分くらいが目安)インターバル・トレーニングがあなたの脂肪をボンボン燃やしてくれれます

小生は20代の頃の体型を維持していると周りから評価されております。いい歳してムキムキの筋肉をつけるつもりは無いので、筋力・筋量を維持しつつ脂肪燃焼できる効率的な方法をいくつも用意して、体が刺激になれてしまわないよう、メニューを色々変えて励んでおります。

一番効果的なのは屋外でのランニングの際にダッシュ&ジョギングを取り入れること。
400mダッシュ+100mジョギングを8セット
え?キツい?マジきついですよ(笑)
でもキツいことやらないと脂肪は燃えてくれないんですよ。
回数や速度で強度は自分にあった回数で調整できますから。

これをジムでやろうと思ったら、
傾斜をびっくりするくらいつけて速度を15km/hとかに設定して5分間走る続ける+2分間ジョギングを3セット
これもキツイ。

自宅でインターバルトレーニングをしようと思ったら、10kgくらいのダンベルを使ったエクササイズをインターバルを入れずに次々と行うこと。
(わからない種目はググって調べてくださいね)
腕立て伏せ20回→スクワット&ダンベルプレス10回→ダンベルロウイング10回→スクワット10回→ダンベルカール10回→レッグランジ10回→ダンベルプレス10回→スクワット10回→アップライトロウイング10回 以上を1分の休憩を挟んで3セット
ポイントは、
フォームはきっちりしなくてもよいからスピーディに動作をこなし、種目間のインターバルを極力とらないこと
上半身の種目と下半身の種目を交互に行うこと
複合種目(ダンベルプレス&スクワットを同時に行うみたいなやつ)が特に効果的

いろいろなトレーニング環境でインターバルトレーニングを行うことができると思いますので、自分でいろいろ工夫してみてください。

トレーニング習慣が無い方は、いきなりこんなことやったら間違いなく怪我をしてしまうので、まずはマニュアル通りのウォーキングやジョギングから始めてください。

資産運用も体作りも継続と工夫が重要なのです(笑)。

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2012年9月15日土曜日

QE3発動後の投資戦略


やってくれました、FOMC。
今回のQE3の発動についての骨子は「満額回答+アルファ」ととらえられており、ポジティブサプライズとして受け止められております。
事前にかなりQE3を折り込む相場上昇を見せていたものの、「噂で買って、事実で売る」展開となっていないことが、それを表しております。 市場との対話、発表のタイミングも絶妙だったといわざるを得ないでしょう

そもそも今回のFOMCでは、当初QE3の発動は12月のFOMC(オペレーション・ツイスト終了月)においてQE3発表とする予想と、今回のFOMCで発表されるとの予想が拮抗していました。
先週あたりから今回のFOMCQE3の発表がされるという予想が一気に増えてきました。

これまでの量的緩和と異なるところは、MBS(不動産担保証券)の買取についてオープンエンドとしており、
期間についての言及をしなかったことです。簡単に言うと、「雇用が回復して次のバブルが起きるまで徹底的にやり続けるぞ!!」という強いメッセージです。

私自身もここまで強いメッセージが出てくることを予想しておりませんでしたので、投資方針の変更(強気転換)は必要と思っております。

為替は対円を除いてドル売りの流れ。
対円では一時的なドル安(瞬間的に77.13タッチ)はあったものの、介入警戒感からその後小動き。
いわゆるリスクオンの相場では、金利が高い通貨や、投資対象がある(たとえば株が上がりそう)な通貨から、
買い戻される傾向がありますので、リスク回避時には一気に買われる円も今は後回しといったところでしょうか。
全体的な流れとしてはドルの下落圧力はありますが、ユーロについてもECBも同様に緩和方向に動いておりますし、今回のECB、FRBの連携を考えると日銀もなんらかの合意を裏でとっている可能性が高く、そういった意味では極端な円高にはならないと思われます。

なんといっても株、とくに米国株はここからかなりの上昇が期待されると思います。米国株の中でも、普段は優良資産として推奨しているグローバル優良企業の株よりも、出遅れ感のあるセクター、具体的には銀行株の急上昇が期待できるかと思います。MBSの買取りが、メリルリンチを子会社としてして抱えるBank of America / BACCitigroup / Cに対して、かなりポジティブに働きます。
米株全体は底値から見ると既に相当上昇しておりますので、ここからとっていくには抵抗感はありますが、潮目は変わりましたし、出遅れセクターならばいけるのではないかと思っております。

本件関してお客様とコミュニケーションをしたところ、必ず受ける質問は、
「で、この効果はいつまで続くの?株価はどれくらい上がるの?」ということです。マクロ分析をしているのではなく、投資が目的のコミュニケーションなので当たり前ですよね(笑)。
数日の動きだけではなんとも予想はしづらいのですが、ネガティブニュースが出そうなイベントが当面見当たらないこと、無期限買取(雇用が回復するまでやりつづける決意)を表明している以上、
いついつまでしか持たないんじゃないですか」というコメントはしづらいのが本音のところです。

とはいうもののQE1QE2の効果が3ヶ月程度であったことを考慮して、とりあえずは年内まではリスクアセット(とくに株やREIT)は上昇基調を続けると見ております。
流れが大きく変わりそうな展開でございますので、近々にまたマーケット概況をお伝え致します。


2012年9月13日木曜日

これから資産を増やしていく方々へ

私のお客様は現役企業経営者、不動産オーナー、会社を売却して悠々自適の方、色々な属性の方がいらっしゃいますが、彼らに共通しているのは「一生困らない」ほどお金を持っていること。

一方、私のブログを読んでくださっている多くの方はおそらく普通の資産規模の方がほとんどかと思います。
余裕資産の中から運用資産を割り当てている富裕層とちがい、日々の生活費から投資用の資金をひねり出してくる場合、その額はたとえば100万円!

お金を増やすにはやっぱり勝負が必要です。セオリー通りの長期分散投資なんてことやってたら、たとえ複利運用がうまくいって5年で倍になったとしても、元手が100万円でしたら200万円にしかならないですから。富裕層への道のりは非常に遠いです。
富裕層に到達するには一点集中投資、タイミングによってはレバレッジも駆使した勝負は必要です。

ではありますが、もしあなたが「これから投資を始める」ステージの方なもであれば、なにもわからないまま投資の世界に踏み込んで、レバレッジのかかった投資をしては百戦錬磨の投資家にカモにされるのがオチです。高校の体育の時間でバスケ部のヤツにバスケで歯が立たないの同じです。まずは、経験値が上がるまでは富裕層の行っている投資対象から場に参加していただきたいのです。

過去であれば良いとき悪いときの循環が一回りするまでに5年くらいかかっていましたが、ここ数年は1年で一回りしてしまうようなスピード感ですので、経験を積むのにそんなに時間はかからないでしょう。
値動きの比較的少ない投資対象でマーケットの勘どころをつかんだ後、本格的にレバレッジ集中投資で勝負に出てもらいたいと思います。

もし、あなたが既に経験豊富でしかもわりとうまくいっている投資家であれば、他の投資家が何を考えて何を選んでいるのかな、くらいの気持ちで私のブログを読んでいただければ幸いです。

2012年9月12日水曜日

「為替の誤解」上野泰輔

ここ1年、為替関係の良書が大豊作!
投資アドバイザーの職について十数年、様々な分野の本を読みあさっているのですが、為替市場のメカニズムついて、現場で為替取引をする我々がすっきりするレベル(そうそうそういうことだよね、とか、なるほどそう分析するのかみたいな)で書かれている本は、ほっんとに少なかったのです。為替の予想が難しいということの証拠ではありますが。

為替本のプチブームの口火を切ってくれたのはまずJPモルガンチェースのの佐々木融氏の著作、
弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)
為替市場の規模や取引の主体といった概観に始まり、氏がレポートでしばしばコメントする2年金利の金利差に注目した分析手段も解説してくれます

続いて出版されたのがドイツ証券の安達誠司氏による
円高の正体 (光文社新書)
為替相場を決定づける最も重要な要因として中央銀行による通貨の供給量をあげています。それに着目した修正ソロスチャートの解説は必読です。

そして、このたび新たに出版されたのが、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰輔氏の著作。「『為替』の誤解」です。
為替/通貨の視点から巷の経済に関する思い込みや誤解をといてくれます。






以上の三冊を読んでおけば、為替市場への偏った相場観や、妙な期待感が払拭され、思い込みを捨てたニュートラルな頭で相場と向き合うことができるのではないでしょうか。

おすすめの三冊です。

2012年9月10日月曜日

マレーシアの不動産投資にご注意

最近、マレーシアへの不動産投資が富裕層の間でプチブームとなっているようです。
金融商品はペーパーだからもう嫌だ、実物資産の方が下がっても何か残る。というリーマンショック後の流れの中、東京都心部に魅力的な利回りの物件が無くなり、日本以外からも資金が流入したシンガポールの不動産は既に高騰し過ぎているという状況で、その周辺のクアラルンプールに目が移っているというのが基本的な流れです。

実物資産に資金が向かうのは已むを得ないですが、海外(しかも新興国)の不動産に向かうのは少し注意を払うべきでしょう。
新興国への不動産投資はインカムゲインよりもキャピタルゲインを狙っていくものだけれども、果たして右肩上がりの成長は本当に続くのか?それについては正直なところ海外の不動産事情はきちんと語れるほど詳しいわけではないので、そんなに上がらないとは申し上げられないですし、ひょっとしたら本当に上がるのかもしれません。

しかしながら、ぜひ注意いただきたいのは、買ったはずの物件の所有権がきちんと自分のものになっているのかどのように確認するのか、ということです。間に入ったエージェントがトンズラしてしまったら、どこの誰に訴えを出せばいいのか、その時に勝てるのか、そこまで調べてから契約するようにしましょうね。

たしかに仕組債なんかは値動きが明確でなく、換気性も低いかもしれませんが、日本拠点の大手の証券会社で購入しているぶんにはブッキングされなくて、お金がどこかにいってしまったということはまずないですからね。


2012年9月9日日曜日

ランニングとビジネス

投資とは無関係です。
ブログを読んでくださっている皆様の中にランニングの愛好家は多いかと思います。
私も20年近くランニングを続けています。

ランニングは体力・健康維持に手軽で効果的であるのは言うまでもないのですが、「考えごと」に最適なんですよね。会社や家のデスクでは目の前に対処していかなければいけないことがたくさんあるので、じっくり思考を深めるということはできないですし、通勤電車も読書やスマートフォンでの情報検索に充てているので、なかなかじっくり考えごとに没頭できません。

ランニングの最中はインターネットやTVやその他メディアからの情報からは遮断されますので、他のことに興味が移らず、じっくり思考にふけることができるのです。現代社会においてはあらゆる仕事はクリエイティビティや共感力といったものが求められます。もちろんそれは膨大なインプットを基礎としないと薄っぺらいものになってしまうわけですが、インプットしたものをどうアウトプットしていくのか、お客様が何を求めているのか、あの時のあの人のコメントはどういう意味だったのか、ブログを読んでくださる皆様が何を知りたいと思って読んでくださるのか、進行中の案件の手順はこれでいいのか、等々、じっくり時間をかけて思いを巡らす時間を持つことは非常に重要と思います。

ビジネスの面だけからいうち思考を巡らす時間を「走る時間」に特定する必要はないですが、経営者のお客様にもランニングやトライアスロンの愛好家は多いことから、共感いただける方も多いと思います。

ま、面倒くさがらずに走ってみてくださいよ。習慣化するのに時間はかかると思いますが。
ちなみにおすすめのランニングシューズはアシックスです。できればきちんとしたスポーツ用品店で足型を測ってもらって、自分に最適な一足を見つけましょう!

2012年9月8日土曜日

手打ち蕎麦「土山人」(中目黒)

中目黒の「土山人」という蕎麦屋さんで昼食をとりました。
季節限定のすだち蕎麦がものすごく美味しかった。
蕎麦そのものも美味いしいのだけれど、だしがいかにも「良い鰹節と良いお醤油から上手に作りました」みたいな濃すぎずかつ深い味わいで、なんとも。すだちのさっぱり感も夏にはすごく良い。
変わり蕎麦って、がっかりさせられて「普通のせいろでいいじゃん」となることが多いのですが、これは大正解でした。

一品料理の中のだしまきたまごも関東風と関西風が選べる。
関西が本拠地で、いくつか店舗展開しているみたいので、近くに寄られる方は行ってみられるとよろしいかと。

iPhoneで写真撮るの忘れてたので、お店のHPを貼付けます。

http://www.dosanjin.co.jp/

為替の見方/誰が買っているの?

購買力平価の続いて、中長期の為替のトレンドを決めるものは何かについて考察します。
為替の方向感について、日経新聞なんかの解説だと「ヘッジファンドが仕掛けて…」みたいなことになっていますが、ヘッジファンドは振れ幅を増幅させ加速させるものではあるけれど、自分達が方向をつくる主体ではありません。

ヘッジファンドはもちろん小さい存在ではないんだけれども、銀行ではないので自分たちで好きなだけレバレッジがかけられるわけではなく、金融機関に借入や証拠金取引をお願いする形でレバレッジをかけさせてもらう必要があります。リーマンショック以降、金融機関の体力が著しく低下し、逆により高い自己資本比率を求められている環境では、リスクの高いヘッジファンドへの信用供与は抑えられている状況で、つまりヘッジファンドは昔ほどの大きな金額を動かしていないのです。

そもそも、リーマンショック以前でも、ヘッジファンドは儲けることが仕事であり、マーケットを動揺させることが仕事ではないのです。儲けることが目的なのに、動かないかもしれないマーケット・アタックなんかしないですよ。

急激な為替の動きがあると「ヘッジファンドなどの投機筋の仕掛けで」という思考停止した解説しか新聞には見当たらないのは、適当なコメントをする為替ストラテジスト達のせいであり、書きやすいキャッチーな言葉で語ってくれるストラテジストにしか取材をしないマスコミももちろん悪いのです。

また、いわゆる投機筋の為替取引は、為替そのもので収益を稼ごうという取引であり、ポジションをとれば期日までに必ず反対売買を行う必要があります。よって、売りと買いは同じ金額(=行って帰ってくる動き)なので、こういう取引は大きな流れを作るものではありません。

逆にかえせば、商取引でも投資活動でも、買ったら(売ったら)しばらくその相対通貨のままという片道の取引、そういった資金フローが為替の方向を作っていく上で重要なのです。
たとえば日本の製造業が海外に工場を建設する時の資金の支払い(外貨買い/円売り)、海外子会社から受け取った配当金の円転(外貨売り/円買い)、個人投資家の外株投信買い(ファンドによる外貨買い/円売り)といった動きです。

過去に日本の経済成長の過程で行ってきた海外投資や海外進出の蓄積でものすごい金額の対外資産があります。こういった海外投資の利息や配当の戻り、何かがあった時に円に戻していく金額は膨大であり、今後の成長力はともかく対外資産という意味では世界一の金持ち国家である日本に対しては、相場がどう動こうがそんなこと気にしないで円を買っていく主体が多くあります。
こういった資金フローが円高の流れを作っています。

しかし、経常黒字は徐々に縮小の方向にあり、このまま以前と同じだけの円高圧力があるわけではありません。といってもマスコミが煽るように2〜3年の話というよりも、5年とか10年とか先の話になります。









「バフェットの株式ポートフォリオを読み解く」メアリー・バフェット&デビット・クラーク

ウォーレン・バフェットの投資の解説本です。
投資哲学だけでなく、投資先の個社別分析がかなり充実。出版されたばかりなのでデータも最新。
かつ米国株は米国人が書いた文献の方が、やっぱり内容が深いです。
私がこれまで推奨してきたグローバル株式への投資を考えていらっしゃる方には必読かと思いました。
私も一気読みしまして、今後の顧客アドバイスに活かすべく、Book Off行きでなく、本棚に並べる本とすることにしました(笑)。




2012年9月7日金曜日

ECB理事会 国債の無制限買い入れ決定

昨日の欧米市場はアゲアゲ相場でした。
なんといってもECB理事会が国債の無制限購入(OMT)を決定したことと、米国の経済指標が予想を上回ったことが要因です。

今回のECBの判断(ただしドイツは反対)は、概ねFRBと米財務省の行ったTALFやTARP等の発想に近く、短期的には危機を沈静させる効果があります。現在を乗り切らなければ未来はないという行動原理ともいえます。

しかし、ECBは欧州で最も経済規模の大きいドイツの反対を押し切っての採択となり、今後はドイツvsその他EUの確執問題に発展する可能性を残すことになりました。

今回のOMT(Outright Monetary Transaction)は、ドイツ連銀を排除したことで、現状は「不胎化」や「3年以内」という条件がついていますが、「今後格付の悪化にも関係なく」「無制限に購入する」と声明があった通り、今後、自体が悪化していった時には何でもできると思われ、その時にドイツがどういう行動に出るか不安が残ります。キレてユーロを離脱するとか言い出しかねません。
そういった意味で、あくまでも延命措置という解釈がよろしいでしょう。

しかしながら、今回はいままでになくしっかりと具体的な行動(予定)が見えたので、しばらくリスクオンの相場展開が続くものと予想されます。

昨日は欧州銀行の株も、これまで国債保有残高が多くリスクが高いと言われていた銀行の株価も急上昇しています。

これまで、リスク資産に資金を回せていなかった投資家が、リスク市場に再び還流することになりました。これまで、マイナス金利でも安全資産で運用していた投資家がが、昨日は欧州の資源関連、コモディティー、(指標の良かった)米株などに向かいました。

しかし、昨日のECBの声明後のドイツ連銀(バイトマン)の発表を慎重に読み解くと、「発表された国債市場への介入計画は、中央銀行が最終的に、相当なリスクを多数の国の納税者に再配分してしまうという危険も含んでいる」とし「しかし、そのようなリスク共有を合法的に許可することができるのは、民主的に選出された議会と政府だけだ」と即座に反対の声明を出しています。

今回のECBの行動は通貨(EUR)そのものの信認を失う行動ですが、さらに欧州最大の経済大国からでたコメントに、本来ならば信認を持って投資する各国準備資金や年金等のリアルマネーは、逃避する可能性があります。

まだまだ予断は許さない状況ですね。

本日は投資家目線というよりも、思いっきり金融機関目線の投稿になりました。


2012年9月6日木曜日

為替の見方/購買力平価

中長期の為替のトレンドを決めるものの一つに購買力平価というものがあり、いまの為替のトレンドをわりとうまく捉えている考え方かと思います。
ある程度投資の勉強や経験を積まれた方にはすごく普通の考え方なのですけど、聞いたことがあるけれどいまだに腹に落ちていないという方もいらっしゃるようなので、ここで再度確認しておきます。

話をわかりやすくするために、1米ドル=100円とします。
100円で買えるノートが翌年にはデフレによって99円に値段が下がっていました。
ノートの値段は下がったけれど、モノとしてのノートの価値は変わっていないで、これは逆に円の貨幣としての価値が上がったということになります。
一方、米国でまったく同じノートが1米ドルで売られています。翌年はインフレのせいで1.02米ドルとなりました。同じくノートの値段は変わっても、モノとしてのノートの価値は変わりません。ということは米ドルの貨幣価値が下がったということになります。
以上のようにモノの価値を基準として、円の価値の上昇と米ドルの価値の下落という歪みを為替レートが調整すること。これが購買力平価の基本的な考え方となります。
いわゆるビッグマック指数といわれるものがこれにあたります。

で、日本はここ何年もデフレの国。現状でざっくり年1%程度のデフレ。
米国は経済成長が衰えたりとはいえどもインフレの国。現状は年2%程度のインフレ。
ネットで3%の差があります。つまり円が実質で3%強くなっていく計算

もし米ドルの金利が高ければ、金利でお金が増えていくので、日米金利差をインフレ率ギャップと差引させます。しかし米国の金利はいまや円とほとんど変わらぬレベルにつき、ざっくり計算上は加味する必要はありません。

この購買力平価による円の価値の上昇が、じわりじわりと円を押し上げる圧力となっているのです。おまけに日銀は2月は「1%のインフレターゲット」を宣言するなど威勢がよかったのですが、本気でインフレに持っていく気は感じられないですからね。

黙っていると円は強くなる。これがベースです。

2012年9月4日火曜日

為替は難しい?

お客様が「為替を予想するのは難しいね」とよくおっしゃいます。
タイトルに「?」をつけてるってことは、そうじゃないですよという話が始まると思われたかもしれませんが、じつは私も難しいと感じます(笑)。

株についてはその投資理論でノーベル賞とった人はいますが、為替でノーベル賞をとった人はいないわけですから、確たる理論が無いというのが実情なのです。

為替を難しくしている一番の理由は何かというと、為替の値には理論的な適正値といえるものがないということです。
これが、株であれば、時価総額が持っている資産と負債の清算価値を下回れば割安だといえますし、将来の予想収益から適正な株価を判断する様々なフォーミュラは一定の説得力を持っております。

そもそも為替は「ある国の株価」ではなく、「二国間の通貨の交換比率」でしかありません。もし仮に、通貨の流通量は国の何か(金本位制だったらゴールドの保有量)の何倍までしか発行しちゃダメですよとか、GDPを基準にどれくらいまでですよ、という国際ルールがあったとして、かつ各国が遵守しているという状況であったとしたら、流通量をベースに交換比率決まってくるみたいなメカニズムを導き出すことができるかもしれません。その場合は為替を「ある国の株価」的な解釈をすることは可能でしょう。

しかしながら現実は、流通量を制限する国際ルールがあるわけでもないですし、仮にあってもルールが遵守されているかどうかはチェックできなません。

おまけに為替の取引量は一日だけで4兆ドル!どんな主体がどんな意志をもって為替取引を行っているのか全貌を把握するのはすごく難しいです。
さらに政府の思惑が金利の調整、資金の供給量、市場介入といった様々な手段で影響を与えてくるので、非常に難しい。

そんなことで、予想が難しい為替相場ではありますが、円の金利はずっと低いままで株の成長力は他国著しく劣後している以上、日本人が資産運用に取り組むには海外の資産クラスへの投資は避けて通れません。がんばって為替と付き合っていかざるを得ない状況です。

購買力平価の理論や、2年金利の金利差、いろんな物差しを使うことで、長期の方向感や足元の動き方には予想(想定)可能なところもあります。このブログではそういった為替との付き合い方についても少しずつお伝えしていきたいと思います。

2012年9月3日月曜日

「ロムニー大統領で日米新時代へ」日高義樹

米国大統領選挙も佳境に入ってまいりました。
世論調査ではロムニーが支持率を伸ばし、オバマが拮抗し始めております。
現職有利という歴史を覆し、ひょっとしてひょっとするかもしれません。
金融界としては低所得者層ばかりを優遇するオバマよりも、きちんとしたビジネスセンスを持つロムニーの方がありがたいんですよね。(どちらが多くの人の幸せに役立っているかという議論とは別ですよ)
来年以降の米国、いや世界経済の方向を予測するためにも、選挙の行方を考察することは不可欠でしょう。
ワシントン・ウォッチャーの大御所である日高義樹氏の著作に目を通しました。
これを読むとオバマの政治は失策ばかりで、再選に値する成果は何も残していないと言えるかもしれません。




2012年9月2日日曜日

ストレッチングボード

小生はランニングやウエイトトレーニングの等のワークアウト好き。
「健全な魂は健全な肉体に宿る」をモットーに、週に2〜3回のトレーニングは欠かせません。
といっても、年齢も年齢だからケアはもっと重要で、栄養補給と睡眠とストレッチにはかなり気をつかっております。
本日、ご紹介するのはこちらのストレッチングボード
ハムストリングス筋(太腿の裏からお尻にかけて)のストレッチをサポートしてくれるので、腰痛予防に最適です。
このボードに角度をつけて、タイマーを3分程度セットして、立位体前屈の姿勢で立つだけ。500g〜1kg程度の軽い重りを持つと、よりストレッチします。その際、ポイントは重りを握りしめないこと。腕だけでなく上半身全体が緊張し、ストレッチ効果が失われるので、重りは指でひっかける程度のイメージ。とにかく全身脱力しましょう。
お手軽にストレッチできるのでおすすめです。


2012年9月1日土曜日

「エマージング通貨と日本経済」棚瀬順哉

JPモルガン・チェース銀行のチーフ為替ストラテジストである棚瀬氏の著作。
「高金利であること」や「成長力に基づく将来的な通貨高期待」でしか語られることのなかったエマージング通貨について、大手金融機関のストラテジストらしくきちんと分析した良書です。
まずはエマージング通貨の重要度・注目度が増してきている過程と、日本企業の業績にどいった形で影響を与え、それが影響度が増している現状を説明。
次にエマージング通貨の動向を分析するためのポイントを説明。リスクオンの時に買われる通貨であること。各国当局の思惑に左右されやすく、経常赤字の少ない国の通貨ほど通貨高阻止の介入の可能性が高いことえお説明。
そこから、各通貨の特徴の説明に入ります。人民元、ブラジル・レアル、インドネシア・ルピー、トルコ・リラなど、注目されている通貨はすべて網羅されております。
投資対象としてエマージング通貨を考えている方には必読でしょう。