2012年9月7日金曜日

ECB理事会 国債の無制限買い入れ決定

昨日の欧米市場はアゲアゲ相場でした。
なんといってもECB理事会が国債の無制限購入(OMT)を決定したことと、米国の経済指標が予想を上回ったことが要因です。

今回のECBの判断(ただしドイツは反対)は、概ねFRBと米財務省の行ったTALFやTARP等の発想に近く、短期的には危機を沈静させる効果があります。現在を乗り切らなければ未来はないという行動原理ともいえます。

しかし、ECBは欧州で最も経済規模の大きいドイツの反対を押し切っての採択となり、今後はドイツvsその他EUの確執問題に発展する可能性を残すことになりました。

今回のOMT(Outright Monetary Transaction)は、ドイツ連銀を排除したことで、現状は「不胎化」や「3年以内」という条件がついていますが、「今後格付の悪化にも関係なく」「無制限に購入する」と声明があった通り、今後、自体が悪化していった時には何でもできると思われ、その時にドイツがどういう行動に出るか不安が残ります。キレてユーロを離脱するとか言い出しかねません。
そういった意味で、あくまでも延命措置という解釈がよろしいでしょう。

しかしながら、今回はいままでになくしっかりと具体的な行動(予定)が見えたので、しばらくリスクオンの相場展開が続くものと予想されます。

昨日は欧州銀行の株も、これまで国債保有残高が多くリスクが高いと言われていた銀行の株価も急上昇しています。

これまで、リスク資産に資金を回せていなかった投資家が、リスク市場に再び還流することになりました。これまで、マイナス金利でも安全資産で運用していた投資家がが、昨日は欧州の資源関連、コモディティー、(指標の良かった)米株などに向かいました。

しかし、昨日のECBの声明後のドイツ連銀(バイトマン)の発表を慎重に読み解くと、「発表された国債市場への介入計画は、中央銀行が最終的に、相当なリスクを多数の国の納税者に再配分してしまうという危険も含んでいる」とし「しかし、そのようなリスク共有を合法的に許可することができるのは、民主的に選出された議会と政府だけだ」と即座に反対の声明を出しています。

今回のECBの行動は通貨(EUR)そのものの信認を失う行動ですが、さらに欧州最大の経済大国からでたコメントに、本来ならば信認を持って投資する各国準備資金や年金等のリアルマネーは、逃避する可能性があります。

まだまだ予断は許さない状況ですね。

本日は投資家目線というよりも、思いっきり金融機関目線の投稿になりました。


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