2012年9月6日木曜日

為替の見方/購買力平価

中長期の為替のトレンドを決めるものの一つに購買力平価というものがあり、いまの為替のトレンドをわりとうまく捉えている考え方かと思います。
ある程度投資の勉強や経験を積まれた方にはすごく普通の考え方なのですけど、聞いたことがあるけれどいまだに腹に落ちていないという方もいらっしゃるようなので、ここで再度確認しておきます。

話をわかりやすくするために、1米ドル=100円とします。
100円で買えるノートが翌年にはデフレによって99円に値段が下がっていました。
ノートの値段は下がったけれど、モノとしてのノートの価値は変わっていないで、これは逆に円の貨幣としての価値が上がったということになります。
一方、米国でまったく同じノートが1米ドルで売られています。翌年はインフレのせいで1.02米ドルとなりました。同じくノートの値段は変わっても、モノとしてのノートの価値は変わりません。ということは米ドルの貨幣価値が下がったということになります。
以上のようにモノの価値を基準として、円の価値の上昇と米ドルの価値の下落という歪みを為替レートが調整すること。これが購買力平価の基本的な考え方となります。
いわゆるビッグマック指数といわれるものがこれにあたります。

で、日本はここ何年もデフレの国。現状でざっくり年1%程度のデフレ。
米国は経済成長が衰えたりとはいえどもインフレの国。現状は年2%程度のインフレ。
ネットで3%の差があります。つまり円が実質で3%強くなっていく計算

もし米ドルの金利が高ければ、金利でお金が増えていくので、日米金利差をインフレ率ギャップと差引させます。しかし米国の金利はいまや円とほとんど変わらぬレベルにつき、ざっくり計算上は加味する必要はありません。

この購買力平価による円の価値の上昇が、じわりじわりと円を押し上げる圧力となっているのです。おまけに日銀は2月は「1%のインフレターゲット」を宣言するなど威勢がよかったのですが、本気でインフレに持っていく気は感じられないですからね。

黙っていると円は強くなる。これがベースです。

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