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2012年12月25日火曜日

「不連続の日本経済」若林栄四

でました。
チャーチストの大御所・若林栄四氏の新刊。
こういう相場の変わり目になりそうな時期には読んでおきたいですね。
どうしても大手の金融機関の所属しているストラテジストは冒険できないから、今のファンダメンタルズや今の相場の延長でしか物を語ることができず、大きな相場転換を予想することはできないのですよ。
若林氏は「一切のファンダメンタルズを排している」というわりには誌面のほとんどはファンダメンタルズなんだけれども、それはまずはチャート分析ありきで、それがロジカルに成立し得るかを検証している感じですね。「未来に起きること」ありきで、未来のことに後付けで理屈をつけている感じ、と言いますか。
大手金融機関所属の小生がこういう理論を推奨しちゃうと、なかなかよろしくないこともあるのですが、この方の相場予想はキチンと当ててきますからね〜。
一読をおすすめします。




2012年12月19日水曜日

為替相場は転換したか?

為替市場のムードが変わってまいりました。

衆院選後の今週は狭いレンジ内での動きではありましたが、株の上昇に支えられ、予想されていたようなポジション調整(円売りポジションの解消→円高)もなく、相場つきが変わってきたのではないかという声も多く聞かれるようになりました。

とはいうものの、
クリスマス休暇前の取引参加者が少ないマーケットにおける動きですので、「変わりました!」と言い切ってしまうのはまだ早計であり、まだ難しい状況です。

しかしながら、いくつか材料が「円安トレンドへの転換」の可能性を示唆しております。
(まわりくどくてすいません)

一つは前回の投稿でコメントしました「日米2年金利の差」が広がり始めたことです。
いまのところはレンジ内ではありますが、米国2年金利が上昇し始め、金利差が拡大し始めました
日本の金利が下がっている一方、米国はFRBによる追加量的緩和が見込まれているにもかかわらず、景気の本格回復を織り込む形で2年金利は上昇を始めております。
ここがさらに拡大してくると、ドル買いの動きが加速される可能性がございます。
この感応度は市場環境によって変わってきますので、「何%まで開いたときがシグナルです」的な言い方は難しいですが・・・。

もう一つは、いくつかの抵抗線を抜けて為替の水準として意識されている85円が近接していることです。2010年以降、何回か円安に戻った際に抜けらなかった抵抗線ですので、ここ(85円)をしっかりと抜けてくると、トレンドが変わってきたなという安心感を伴って、もう一段円安にということになりやすいです。

とはいうものの、日銀政策決定会合で何を言ってくるのか、財政の崖の議論の行方はどうなのかなど材料が多くあるため、現在は利益確定をこなしながらのポジション調整が行われているといった格好です。

財政の崖がこのままポジティブなムードで進めば85円ブレークの円安もあり得ますし、
一転してネガティブな報道がされれていったんポジション調整(下値のめどは81円~81.50円)はまだまだあり得ます。

で、結論はどっちなんだ?
という疑問に対しましては、まだ断定的にはいえません。
しかしながら、相場が変わったかもしれないというムードが醸成されておりますので、
80円を割れるような円高の展開はかなり考えにくくなりました

上がる(円安)か上がらないかはまだわからないですが、下(円高)はないでしょう

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2012年12月15日土曜日

当面の為替市場の動向について

ブログ更新にものすごく間が空いてしまいました。
読んでくださっていた方々、申し訳ございません。継続的に頑張ります。

本日は為替について潮目が変わってきた感じもありますので、そこについてコメントします。

安部政権への期待から投機的な円安ポジションが積みあがり、ドル円相場は83円台に突入いたしました。(シカゴIMMの投機ポジションは10万枚に)

投機的なポジション積み上げには巻き戻しがあるので必然ですので、すぐに元に戻るだろうと思っていました。
自民党が週末の選挙で大勝したにせよ、衆参のネジレが継続する夏場までは日銀法改正、インフレターゲットの政策導入などがなかなか前に進まないとの予想から、今度は逆にポジション調整(いったん円高に)の可能性は高いと思われます。

日本サイドの材料だけで動いている相場であれば、ポジション巻き戻しの可能性が非常に高いと思っておりましたが、米国サイドの材料として、12月11-12日のFOMC後の声明を受けて、ドルの下値が固くなったとみております。

FOMC6.5%という完全失業率水準を時間軸維持の主たる条件に据えたことが、大きなインパクトとして受け止められております。
米国経済の完全失業率の低下ペースは着実に進んでおり、同国経済が2%の実質成長率を維持できているという前提で、12ヶ月~1年半程度の期間でターゲットに達する可能性が高いと見られております。

したがいまして、超低金利政策維持に関するガイダンスがこれまでの「2015年半ばまで」から2014年半ばころまで」へ、1年程度短縮されたと解釈が可能になります。

しばらくFRBのバランスシートが膨らむというドル安要因は続くものの、上記の見通しを市場が織り込みはじめ、米国の2年金利が先行して上昇し始めれば、一気にレンジを抜けていく展開も予想されます。(中期の為替見通しでトレーダーは「日米の2年金利の差」を非常に意識しているため)
いまのところ2年金利に大きな反応はないようです。

さらに米国金利が上昇しているということは米国の景気は本格的に回復を始めている証となり、米国景気の回復は世界景気の回復、キャリートレードの再開という流れが予想されます。その際、キャリー通貨として売られるのは金利の上がった米ドルではなく、以前のように円である可能性が高くなります。

円安が進めば日本の貿易赤字も膨らますので、すでにノリシロの少なくなった経常収支の黒字幅がさらに縮小していくことになります。円買いをサポートしてきた大きな要因のひとつが崩れていくのは非常に重要なポイントです。

そうしたムードが醸成されている中ですので、選挙後の週明けにはクリスマス休暇前の利食い・ポジションの調整(=ドル売り)は入るにしても、「実需の買い」「買えていない投資家の買い」などドル買いの材料には事欠かず、80円割れは難しいと考えております。年内81.00くらいまででしょうか。

日本株につきましては、クリスマス休暇明けに海外投資家がドル買い円安方向に動き出せば、それを好感して日経平均がもう少し上昇していく流れも予想できます。

注目は米国2年金利がどこで反応し始めるか、ですね。

2012年9月19日水曜日

為替オプション付預金はほんとうに不利なのか?

二重通貨預金、Dual Currency Deposit、プレミアム預金、と呼称は色々ありますが、20年くらい為替を使った投資商品として人気であります。

いわゆる外貨のプットオプションを売ることでプレミアムを得るものであり、つまり不利な価格で買う義務を負っているわけで、要する実勢よりよくないレートで元本が外貨に交換される可能性を秘めているわけです。

「金融商品に気をつけなさい」系の主張をする経済学者や投資アドバイザーは、「意味がない」「リスクの割にリターンが限定的」と声高に批判される方がいます。

一回限りの取引の損益表(ペイアウト)を見るとたしかにその通りなのですが、それを理解した上で、仕組預金が好きというお客様がかなり多くいらっしゃっています。シビアな経済合理性を求める企業経営者がですよ。なぜでしょうか?

一つには、為替(とくにドル円)の振幅が株ほど大きくなく、負けてしまった時の毀損率が株に投資するより遥かに小さいこと。

二つ目の理由として、90年代初頭までの為替相場はいざしらず、昨今の為替為替はいったんレンジが形成されるとしばらくその範囲で動くことが多く、結果として円貨が外貨にかわっても、外貨を元本に円貨に戻りで条件を組み、利金を受け取りつつ、どこかの段階で元本がもと戻りましたという繰り返し、外貨と円貨に行ったりきたりがよくあるのです。

三つ目は、上記二点を前提として、楽しいから、勉強になるから、めんどくさくないからという理由。

為替証拠金取引でポジション作ったら、利食いや損切りのタイミングを考えて常にヒヤヒヤであり、本業のビジネスの片手間で取り組むには神経を使い過ぎるのに対し、仕組預金であれば期間をたとえば一ヶ月であれば、エントリーのタイミングで腹をくくってしまえば後はそれほど忙しくないこと。
エントリーのタイミングで、たとえば一か月毎に為替マーケットの状況をアドバイザーとのディスカッションを通してアップデートし、どういう戦略で条件を組むのか、あるいは様子見をするのか、それが為替の相場観を養うのに良いとコメントされる方は非常に多いんですね。

あせらずにきちんと「様子見」の期間を持つことができる方であれば、この1年はレンジ相場ですから、多くのお客様がざっくり5〜6%程度の収益はとれている状況です。

2012年9月12日水曜日

「為替の誤解」上野泰輔

ここ1年、為替関係の良書が大豊作!
投資アドバイザーの職について十数年、様々な分野の本を読みあさっているのですが、為替市場のメカニズムついて、現場で為替取引をする我々がすっきりするレベル(そうそうそういうことだよね、とか、なるほどそう分析するのかみたいな)で書かれている本は、ほっんとに少なかったのです。為替の予想が難しいということの証拠ではありますが。

為替本のプチブームの口火を切ってくれたのはまずJPモルガンチェースのの佐々木融氏の著作、
弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)
為替市場の規模や取引の主体といった概観に始まり、氏がレポートでしばしばコメントする2年金利の金利差に注目した分析手段も解説してくれます

続いて出版されたのがドイツ証券の安達誠司氏による
円高の正体 (光文社新書)
為替相場を決定づける最も重要な要因として中央銀行による通貨の供給量をあげています。それに着目した修正ソロスチャートの解説は必読です。

そして、このたび新たに出版されたのが、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰輔氏の著作。「『為替』の誤解」です。
為替/通貨の視点から巷の経済に関する思い込みや誤解をといてくれます。






以上の三冊を読んでおけば、為替市場への偏った相場観や、妙な期待感が払拭され、思い込みを捨てたニュートラルな頭で相場と向き合うことができるのではないでしょうか。

おすすめの三冊です。

2012年9月8日土曜日

為替の見方/誰が買っているの?

購買力平価の続いて、中長期の為替のトレンドを決めるものは何かについて考察します。
為替の方向感について、日経新聞なんかの解説だと「ヘッジファンドが仕掛けて…」みたいなことになっていますが、ヘッジファンドは振れ幅を増幅させ加速させるものではあるけれど、自分達が方向をつくる主体ではありません。

ヘッジファンドはもちろん小さい存在ではないんだけれども、銀行ではないので自分たちで好きなだけレバレッジがかけられるわけではなく、金融機関に借入や証拠金取引をお願いする形でレバレッジをかけさせてもらう必要があります。リーマンショック以降、金融機関の体力が著しく低下し、逆により高い自己資本比率を求められている環境では、リスクの高いヘッジファンドへの信用供与は抑えられている状況で、つまりヘッジファンドは昔ほどの大きな金額を動かしていないのです。

そもそも、リーマンショック以前でも、ヘッジファンドは儲けることが仕事であり、マーケットを動揺させることが仕事ではないのです。儲けることが目的なのに、動かないかもしれないマーケット・アタックなんかしないですよ。

急激な為替の動きがあると「ヘッジファンドなどの投機筋の仕掛けで」という思考停止した解説しか新聞には見当たらないのは、適当なコメントをする為替ストラテジスト達のせいであり、書きやすいキャッチーな言葉で語ってくれるストラテジストにしか取材をしないマスコミももちろん悪いのです。

また、いわゆる投機筋の為替取引は、為替そのもので収益を稼ごうという取引であり、ポジションをとれば期日までに必ず反対売買を行う必要があります。よって、売りと買いは同じ金額(=行って帰ってくる動き)なので、こういう取引は大きな流れを作るものではありません。

逆にかえせば、商取引でも投資活動でも、買ったら(売ったら)しばらくその相対通貨のままという片道の取引、そういった資金フローが為替の方向を作っていく上で重要なのです。
たとえば日本の製造業が海外に工場を建設する時の資金の支払い(外貨買い/円売り)、海外子会社から受け取った配当金の円転(外貨売り/円買い)、個人投資家の外株投信買い(ファンドによる外貨買い/円売り)といった動きです。

過去に日本の経済成長の過程で行ってきた海外投資や海外進出の蓄積でものすごい金額の対外資産があります。こういった海外投資の利息や配当の戻り、何かがあった時に円に戻していく金額は膨大であり、今後の成長力はともかく対外資産という意味では世界一の金持ち国家である日本に対しては、相場がどう動こうがそんなこと気にしないで円を買っていく主体が多くあります。
こういった資金フローが円高の流れを作っています。

しかし、経常黒字は徐々に縮小の方向にあり、このまま以前と同じだけの円高圧力があるわけではありません。といってもマスコミが煽るように2〜3年の話というよりも、5年とか10年とか先の話になります。









2012年9月6日木曜日

為替の見方/購買力平価

中長期の為替のトレンドを決めるものの一つに購買力平価というものがあり、いまの為替のトレンドをわりとうまく捉えている考え方かと思います。
ある程度投資の勉強や経験を積まれた方にはすごく普通の考え方なのですけど、聞いたことがあるけれどいまだに腹に落ちていないという方もいらっしゃるようなので、ここで再度確認しておきます。

話をわかりやすくするために、1米ドル=100円とします。
100円で買えるノートが翌年にはデフレによって99円に値段が下がっていました。
ノートの値段は下がったけれど、モノとしてのノートの価値は変わっていないで、これは逆に円の貨幣としての価値が上がったということになります。
一方、米国でまったく同じノートが1米ドルで売られています。翌年はインフレのせいで1.02米ドルとなりました。同じくノートの値段は変わっても、モノとしてのノートの価値は変わりません。ということは米ドルの貨幣価値が下がったということになります。
以上のようにモノの価値を基準として、円の価値の上昇と米ドルの価値の下落という歪みを為替レートが調整すること。これが購買力平価の基本的な考え方となります。
いわゆるビッグマック指数といわれるものがこれにあたります。

で、日本はここ何年もデフレの国。現状でざっくり年1%程度のデフレ。
米国は経済成長が衰えたりとはいえどもインフレの国。現状は年2%程度のインフレ。
ネットで3%の差があります。つまり円が実質で3%強くなっていく計算

もし米ドルの金利が高ければ、金利でお金が増えていくので、日米金利差をインフレ率ギャップと差引させます。しかし米国の金利はいまや円とほとんど変わらぬレベルにつき、ざっくり計算上は加味する必要はありません。

この購買力平価による円の価値の上昇が、じわりじわりと円を押し上げる圧力となっているのです。おまけに日銀は2月は「1%のインフレターゲット」を宣言するなど威勢がよかったのですが、本気でインフレに持っていく気は感じられないですからね。

黙っていると円は強くなる。これがベースです。

2012年9月4日火曜日

為替は難しい?

お客様が「為替を予想するのは難しいね」とよくおっしゃいます。
タイトルに「?」をつけてるってことは、そうじゃないですよという話が始まると思われたかもしれませんが、じつは私も難しいと感じます(笑)。

株についてはその投資理論でノーベル賞とった人はいますが、為替でノーベル賞をとった人はいないわけですから、確たる理論が無いというのが実情なのです。

為替を難しくしている一番の理由は何かというと、為替の値には理論的な適正値といえるものがないということです。
これが、株であれば、時価総額が持っている資産と負債の清算価値を下回れば割安だといえますし、将来の予想収益から適正な株価を判断する様々なフォーミュラは一定の説得力を持っております。

そもそも為替は「ある国の株価」ではなく、「二国間の通貨の交換比率」でしかありません。もし仮に、通貨の流通量は国の何か(金本位制だったらゴールドの保有量)の何倍までしか発行しちゃダメですよとか、GDPを基準にどれくらいまでですよ、という国際ルールがあったとして、かつ各国が遵守しているという状況であったとしたら、流通量をベースに交換比率決まってくるみたいなメカニズムを導き出すことができるかもしれません。その場合は為替を「ある国の株価」的な解釈をすることは可能でしょう。

しかしながら現実は、流通量を制限する国際ルールがあるわけでもないですし、仮にあってもルールが遵守されているかどうかはチェックできなません。

おまけに為替の取引量は一日だけで4兆ドル!どんな主体がどんな意志をもって為替取引を行っているのか全貌を把握するのはすごく難しいです。
さらに政府の思惑が金利の調整、資金の供給量、市場介入といった様々な手段で影響を与えてくるので、非常に難しい。

そんなことで、予想が難しい為替相場ではありますが、円の金利はずっと低いままで株の成長力は他国著しく劣後している以上、日本人が資産運用に取り組むには海外の資産クラスへの投資は避けて通れません。がんばって為替と付き合っていかざるを得ない状況です。

購買力平価の理論や、2年金利の金利差、いろんな物差しを使うことで、長期の方向感や足元の動き方には予想(想定)可能なところもあります。このブログではそういった為替との付き合い方についても少しずつお伝えしていきたいと思います。